Side 佐久間



重い沈黙は夜が明けてもしばらく続いた。
体感的にはそんなに長い沈黙ではない気がしたが、
いつの間にか夜明けの太陽の光も消え窓には曇り空が広がっていた。
源田はあれから一向に顔をあげる気配も喋る気配もない。


「…源田」


沈黙を断ち切るように名前を呼んだ。
しかし源田から返事はない。
俺はそのまま言葉を続けた。


「……鬼道が会いたがってること不動に伝えておいてくれ。」
「…………」
「俺、そろそろ戻らなきゃいけないから。また連絡はする。」
「………」


源田は何も喋らない。
一方的に話をし、俺は立ち上がってカバンを取った。
扉に向かって歩きだすより早く源田が小さな声で話を始めた。


「…お前、それでいいのか?」
「何の話?」
「お前はもし鬼道と不動が会って寄りを戻すなんてことになってもいいのか?」
「それで2人が幸せならいい。」

俺の言葉に源田は顔をあげた。
じっと俺を見つめたまままた喋らなくなった。

昔からたまにこいつの言いたいことがわからない時があった。
というか、遠回しに言うからわけわからないだけだが。

短い沈黙は源田の言葉で断ち切られた。


「2人が幸せでも…お前は幸せじゃないんじゃないか?」
「は?」

「だって、お前、昔から鬼道が好きだっただろ…?」

源田の言葉で何かが切れる音がした。


「お前、ほんと何もわかってねぇよ…昔も今も。」
「…佐久間?」
「ほんとムカつく……」


顔を俯け涙を堪えた。
わかっていない源田にも腹がたつが
なにより想いを告げる勇気のない自分に苛立ちを覚えた。

「…時間ないから俺、行く。とりあえず不動に言っといて。」

それだけ言って扉に向かって歩きだしたが、3歩進んだところで腕を捕まれた。

「何…?離せよ。」
「なんでそんな泣きそうな顔するんだ…?」
「別にそんなこと「俺にお前の嘘が見抜けないと思う?」っ………」
「なぁ、どうしてなんだよ?」

プチン。何かが切れた俺は源田に向き直り胸ぐらを掴んで言った。言ってしまったのだ。

「俺が好きなのは鬼道じゃない!今も昔もずっと…ずっとお前が好きだったんだよ!」


今まで積み上げてきた"親友"の関係は音を立てて崩壊した。









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