Side 源田



部屋に流れる沈黙を先に破ったのは俺だった。

「…こんな所でする話をしに来たんじゃないだろ?」

問い掛ければ佐久間は小さくうなずいた。
佐久間が外に車を待たせている、と言うのでそれで移動することにした。
俺は一旦荷物を取りに向かった。

荷物の置いてある自分のデスクに着くと先ほど俺を佐久間の元へ連れていった上司が現れこう聞いてきた。

「源田、鬼道財閥の秘書なんかと知り合いだったの?」

佐久間のことだろう。
そう解釈し少し悩んで、昔の知人と答えた。
上司はそうなのか、と興味深そうに頷いた。
なんだか長くなりそうな予感がしたから切り上げるためにこう告げた。

「あのすみません、人待たせているんで失礼します。」
「あ、あぁ。わかった。」

軽く礼をして荷物を片手に出口へ向かった。
出口には佐久間が立っていた。
待たせたな、と言えば小さく首を振った。
そして2人で車に乗り込んだ。
運転手つきなのはさすが鬼道財閥の秘書と言ったところだろう。

大方予想はついていたが、佐久間はやはり鬼道財閥で働いていた。
まぁ、そうじゃなければここに佐久間は来てないだろうが。
鬼道財閥の秘書と言うのは先ほどの上司に言われて初めて知った。
次の社長が鬼道であることからこれも予想通りであるが。
そして今日、俺の元を訪れたのも鬼道が俺と不動が一緒と考えて言ったのだろう。

ただ俺には疑問が残った。
佐久間は昔から鬼道が大好きだったはず。
今も秘書をやるくらいだから変わっていないだろう。
だったら何故不動と鬼道の恋愛に協力するのか。
佐久間は優しい。そんなことはわかった。
それでも普通協力などしないだろう。

ネオンの輝く町を眺めながら
不動と佐久間そして鬼道の歪な三角関係について考えた。

どうしたら幸せになるんだろう。と…

















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