時刻はちょうど正午になろうかとしていた。 俺はとある場所に来ていた。 いや、勝手に足が進んだと言ったほうがいいのだろう。 俺が今いる場所はあいつに別れを告げた場所。 正直何故ここに来たのか、何がしたいのか自分でもわかっていない。 おそらくまだ未練があるのだろう。女々しい…。 俺が来たってあいつは来るはずない。 来てもらっても困るだけだが。 俺はあいつと縁を切ったんだ。綺麗さっぱり別れたんだ。なのに… 時計を見ると針はもう正午をすぎていた。 バイトへ行くという本来の目的を思い出し足を踏み出した。 そのとき不意にどこかから声が聞こえた。 「……不動?」 背中に嫌な汗が流れた。 Back . |