豪不







俺には最近恋人が出来た。
そして今日は恋人との付き合って初めてのバレンタインだ。

と言っても正直あまり期待はしていない。
何故なら相手は不動明王。
そういう恋人との行事など興味なさそうだから。
しかし珍しいことに今日は不動が家に来ないかと誘ってきた
これは少しくらい期待してもいいのではないか
高鳴る胸を抑えつつ不動の家へと向かった。

不動の家を訪れたのは片手で数えられるほどしかない。
あまり通い慣れていない道を抜け不動の家にたどり着く。インターホンを鳴らすとぱたぱたと小走りする足音が聞こえる。足音が止むとガチャリと鍵を開ける音そしてすぐ扉が開き中には可愛い恋人。

不「はやかったな。入れよ」
豪「お邪魔します」
不「どーぞ。」

扉を閉め靴綺麗に揃えて脱ぐ。
几帳面だな、と言われたから普通だ、と返した。
そして不動の一歩後ろを歩き部屋に行く。とくにこれといった会話はない。まぁいつものこと。
短い廊下を歩きリビングに付く。1人暮らしの不動の家には家具などあまりない殺風景な部屋だ。不動らしいといえば不動らしい部屋。
適当に座れよ、と言われたから机の近くに座った。するとすぐ隣に不動が座る。チラッと不動のほうを見る。
すると不動と目が合った。吸い込まれそうな綺麗な瞳。つい見つめてしまった。

不「何見てんだよ…」
豪「お前も見てただろ。」
不「俺はいいんだよ。」
豪「なんだよそれ。」
不「うるせ。俺なんか飲み物ついでくる。」

そういうと不動はスッと立ち上がり台所のほうへと歩いていってしまった。
隣に不動がいないとなると急に暇になる。傍に置いてあったスポーツ雑誌を手に取る。少し前のだが暇だからと読ませてもらうことにした。
パラパラと雑誌をめくっていると折れ曲がっている部分があることに気づく。不動は物を大切に扱う人間だ。疑問に思いそのページを開く。
そこにはFFIのことが記されていた。俺が爆熱スクリューを打つ瞬間の写真が大きく載っていた。

不「はい、持ってきたって何見てんだよ!」

背後から飲み物を持ってきてくれた不動に気づかず雑誌を取られてしまった。
勝手に見んじゃねぇよ!と怒鳴る不動だが耳まで真っ赤にしている。そんな顔で怒鳴られても説得力などない。むしろ可愛いだけだ。

豪「不動可愛い。」

思ったことを口にすると黙れ!白菜のくせに!といわれた。
白菜って恋人に吐く言葉じゃないだろうと思ったがそれが不動明王だからそこが可愛くてたまらない。

豪「不動」
不「なんだよ」
豪「好きだぞ」
不「知ってるし」

バレンタインのチョコはもらえなかったが、それ以上の何かをもらえた気がするから結果よかったということだな。
今年もらえなくとも来年、再来年とまだまだ何度もあるのだからいいか。


来年は甘い甘いチョコレートを期待しているぞ不動。
















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