源不 今日は帝国サッカー部は久々の休み。グラウンドに人などいないはずだが、2人分の影がグラウンドに伸びている。 影の主は源田と不動。久々の休みだから2人でデートをしようと提案したのは源田。しかし特に行くとこもなく結局帝国グラウンドでサッカーをすることになった。 不動がコーナーギリギリにシュートしたボールを源田が手を伸ばして止めに入る。だがボールは指先をかすめてゴールに突き刺さる。 源「はぁっ…また腕を上げたな不動。」 不「お前こそっ逆サイドに打った球、よく手届くな。」 源「ははっ、そろそろ休憩するか?」 不「ん。疲れた。」 荒くなった呼吸を整えながら並んでベンチへと向かう。FFIに行っている間に源田はまた身長が伸びたみたいで並んだ肩の位置が高くなった気がする。 じっと源田の顔を見ながら歩いていると不意に源田と目が合う。キョトンとした顔で俺を見る。なんだか急に恥ずかしくなって源田の一足前を少し早めに歩いた。 ベンチに腰を下ろし、置いていたエナメルから水を取り出しゴクゴクと喉を鳴らして飲み干す。 源田も俺の隣に腰を下ろして同じく水を飲む。そして他愛もない話を始める。 正直あまり話の内容は耳に入ってこなかった。久しぶりに会ったからなのか、久しぶりにこんな近くに源田を感じるからなのか、やけに心臓がうるさかった。 源「…不動」 不「あ?何?」 源「聞いてた?」 不「あ、あぁ」 源「嘘つくな。そんなに疲れたか?」 大きな源田の手で頭を撫でられる。柄にもなく顔が熱くなった。 不動、顔が赤いぞ?大丈夫か?そう指摘され尚赤くなるのを感じた。そんな顔を見られたくなくて俯く。 すると心配性な源田は不動の顔を覗き込む。至近距離でみる源田の顔は綺麗でドキッとした。 そのままどちらともなく吸い付くように唇を重ねた。久しぶりのキス。すごく甘い。 ゆっくりと離れる唇がなんだかとても切なかった。 源「久しぶりにキスしたな。」 不「…そうだな」 源「知ってるか不動。」 不「んだよ」 源「今日バレンタインデーなんだぞ。」 不「あ、そんな日もあったな。忘れてた。」 源「ははっだろうな。だからこれ。」 綺麗に包装された箱を渡される。さすが源田といったところだ。バレンタインだからと律儀にプレゼントを贈るなど。 不「律儀だなー。ま、もらっといてやるよ。」 と可愛げのない一言。受け取った箱の包装を少々乱暴に開ける。中には四角い生チョコのようなものが入っていた。 それを1つ摘み口に運ぶ。口に入れると甘い味が広がる。 不「うまい…」 源「そうか!よかった。」 不「源田も食いたい?」 源「ん?くれるのか」 あげる。と言ってもう一粒口の中へ入れ即座に源田へキスをする。チョコを渡すように舌をいれる。 両者の口に広がる脳まで溶かしてしまいそうな甘い味。 俺は無意識に源田の首に腕を回し、もっと強請るようにする。すると一瞬離れる唇。 そしてその合間に一言源田が言った。 源「ごめん、我慢できない。」 俺はいいぜと言わんばかりに源田の唇に吸い付く。 たまにはこんな甘ったるいのもいいかもしれない。そう思いながら甘く熱い口付けを何度も交わした。 Back . |