■012:召喚士

理想の為なら私の命なんか惜しくはないと思っていました。でもそれは間違いだったんだとわかったんです。大切な人を助けるために、スピラの平和が保たれるなら、私の命を喜んで捧げます。でも現実はもっと厳しくて、それじゃ本当のナギ節は手に入らない。
シンはいつまでも消えない。

この世界もスピラと同じように何度も戦いを繰り返している



「ユウナ、大丈夫か」

先頭に立つライトニングは剣を地面に突き立て、振り返る事無く仲間に問い掛ける。負ける闘いだと知っていて、それでもコスモスの戦士たちは戦うしかなかった。背後ではラグナのマシンガンの音が聞こえる。四方イミテーションの大軍に囲まれ、もう逃げ道はない。
ユウナはティーダの事を考えていた。
彼が自分に言ったこと、彼と旅したこと、そして彼と最後に戦ったこと
まるで走馬灯のように思い起こす思い出とスピラと彼のザナルカンド。彼はきっとこんな気持ちで最後の戦いに挑んだのだろう。
自分の帰る場所は無く、
仲間の未来を願いながら、

ユウナは不思議と力が込み上げてくるようだった。それはあきらめや絶望とは程遠いもので、今なら何でもできるような気がした。

杖を抱き締めながら、召喚獣たちを呼ぶ。
私の声はきっと彼に届いている。



---
20120102
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -