■義士×兵士
唐突な会話の中でクラウドに「好きだ」と言われた。他人に告白した事もない、ましてや告白された事もなかった俺はどうしていいのかわからずただ押し黙るしかなく、彼を困らせた。いや、クラウドは最初から俺の反応がわかっていたかのように笑う。
「だからって付き合うとかどうしようってつもりはないんだ」
フリオニールがいてくれるだけで、
それだけで俺には十分だよ
消極的な言葉を呟きながらもクラウドがとても嬉しそうな顔をするから俺は彼の腕を取った。恋人ならこんな時どうするのだろう。
キスして抱き締めてそれから、
「フリオニール、」
「クラウドはそれでいいかもしれないけどな、俺は…」
こんな時何て言えばいい?
胸の奥が熱い、思うことで気持ちが伝えらればいい。彼の気持ちを知ることが出来たのに俺は全てを彼に伝える言葉を知らない。
何故そう思う?俺の気持ちは?ぐるぐる巡る言葉はどれも不適切な気がする。
「好きなんだ…!」
やっと吐き出した言葉は何とも情けない叫びだった。キョトンと目を丸くした彼と目が合うと途端に羞恥で頬が熱くなる。
「…ありがとう、フリオニール」
肩を寄せたクラウドが苦笑して遠慮がちに腕を回してくる。
「少しは欲張れよ」
「なら、もっとしてくれるか?」
何を。とは言わない。ズルい大人のように視線を絡めるクラウドは至極楽しそうだ。
俺は戸惑って彼を抱き締めた腕の力を強める。ぎゅうぎゅうと互いの体が軋みそうなほど密着すると、クラウドは弾かれたように肩を震わせて笑い出した。
「な、なんだよ」
「そうか、フリオニール。それでこそフリオニールだ」
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20111022