■英雄と獅子

「なかなか面白い武器を持っているな」
銃と剣が重なるその先の持ち手にはトリガーが付いている。自分の世界でも銃火器自体は珍しいものではなかったが、そんな武器は初めて見た。
興味本位に持ち主の青年に話し掛ければ、一瞬驚いたような顔をして振り向く。
スコールは手入れ途中のガンブレードを布の上に静かに置いた。

「戦闘で銃弾は出ていないな、俺の知る銃剣ではないようだ」

「…この弾薬の爆発は刃に振動させて敵を斬り付けた瞬間の威力をあげる為のものだが…」
そこでスコールははたと気付く。あの刀ひとつで戦うセフィロスも他の仲間のように機械が存在しない世界から来ていると思っていた。
「アンタの世界にも銃があるのか?」

「ああ。クラウドが持っていただろう」
スコールはクラウドが装備していたマシンガンを思い出す。形状からして兵士が持つには最もポピュラーなものだろう。自分の世界でひと昔使われていたものに近い。
セフィロスとクラウドが同じ世界から来ていることは知らなかったが、あれだけのものが一般兵士でも扱えるような文明ならば、彼も銃火器なり機械なりもっと強力な殺傷能力の高い武器を使うことが出来たのではないだろうか。自分の世界も剣より銃が強いと考えるものが多い。

「アンタがそれを使うのには拘りがあるのか?」
スコールの視線は自然と鞘に収められた正宗へと向かう。
成人男性の身長をゆうに超える長い刀身は常人では持つことさえ困難なほどの重量だと考えられる。その独特の広い間合いは戦闘でも見切りづらい。
その大剣を思うがまま巧みに操る技術は並大抵のものではないなと、スコールもセフィロスには一目置いていた。

「色んなものを試したが、一番これがしっくりくる。それだけだ、それに」
セフィロスは腕にはめたバングルの穴に沈む宝石のように光る丸い石を見せる。

「…マテリアがあれば戦闘はかなり楽なものになる。そういえばお前も兵士だったな」
セフィロスの世界は強力な武器よりも、より強い魔法が使用できるマテリアが支給されるという。なるほど銃や機械よりも強力な魔法が使えれば問題ない。


「…お前のそれは扱うのに少々苦労しそうだ」
「実際手入れも面倒だ。俺の世界でも使う奴は少ない」

セフィロスはガンブレードに視線を落とした。自分がこの刀を使うようにスコールは少なからずこの武器で戦うことに執着しているのだろう。
会話が途切れ、スコールはまたガンブレードに手を掛ける。



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20111016


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