■兵士と夢想(と英雄)


今暫く行動を共にして仲間についてわかったことがある。金髪のツンツンと跳ねた独特の後頭部を見つめ、ティーダはボソッと呟いた

「クラウドってセフィロスと戦いたくないんだろ?」
「…何でそう思う?」

クラウドはゆっくりと振り向く。その顔は限りなく無表情だ。

「見てればわかるスっよ。ヤル気ないし」
「…そうだな」

クラウドは俯いて目を伏せた。
それが凄く辛そうな顔に見えたティーダは慌てて、何か理由があるんだろ!と付け加える。

「…何で戦いたくないんスか?」

クラウドは今度こそ苦々しくため息を吐いて呟いた。
「俺は元の世界で、もう何度もあいつを倒している」

「…どういうことッスか、それ」
一瞬思考が止まる。何度も倒している?

「あいつはライフストリームからの流れから外れてしまったんだ。自然の摂理から逸脱して。」何度倒しても、俺の前に舞い戻ってくるんだ。クラウドは吐き捨てるように呟いた

ティーダにはライフストリームが何なのか。どうしてセフィロスが滅びを求めているのかはわからなかった
しかし、セフィロスの言うクラウドに絶望を送る。その意味が何となくわかった気がする。終わらない戦い。永遠に続く死の螺旋…

ティーダにはひとつ思い当たることがあった。
「夢も希望もありません、か」
「…え?」
「送ってやらないと」
唐突なティーダの言葉にクラウドは疑問符を浮かべる。

「セフィロスは送ってやらないと、もう自分じゃ還れなくなってると思うんだ」
あいつに似た奴を、俺は知ってる。



死者を異界へ強制的に送る儀式が、ティーダの世界にはあるのだという。しかし、それを行えるのは召喚士だけらしい。
コスモスの戦士の中に召喚士はいなかった。もし、いたとしてもティーダの世界のようにその儀式が執り行えるかもわからないが。

けれど、もし、ティーダの世界のようにセフィロスを送ることが出来たら、俺はあの人をゆっくり眠らせることが出来るのだろうか



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20110623


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