■義士×(兵士+夢想)


「まだ起きてたんスか?」
「いや、今から寝るところだったさ。ちょうど武器の整備も終わった」

夜も更けてきたというのに未だテントには明かりのついたままだった。
幕をめくり潜り込むと、そこにはクラウドしかいない。確かこのテントには自分を含め四人の戦士が寝泊りしていたはず。

「フリオニールとセシルは?」
「…セシルは今晩見張り役だ。フリオニールは多分リーダーと話してる」

「ああ〜そっか」
「ティーダは何してたんだこんな時間まで」
「んーちょっと、そこの湖で…」
「…泳いでたのか?風邪引くなよ」
「ウッス!」

ティーダはヘラっと困ったように笑う。クラウドも呆れたような口調だが、顔はしょうがないなと笑っていた

ティーダはクラウドの隣に腰を下ろした
まだ乾ききらないティーダの髪をクラウドは優しく撫でる。染色され傷んだ金髪は水分を含んでややしっとりとしていた。

テントの中はランプがあるせいか少し蒸し暑く、薄着のティーダさえ薄らと汗をかく気温である。クラウドがいつもよりおとなしいティーダを不審に思い、振り返ると真っ直ぐ視線がかち合った

「クラウド、」
「なんだ」
「キスしていい?」

ティーダの目は真剣そのもので、いつもの彼とは違って欲情したようにギラギラしている
返事の代わりにクラウドは自ら舌を差しだして唇を重ねていた。歯列をなぞり、舌を絡めるとティーダはびくりと肩を揺らして、それからぎこちなくクラウドの首に腕を回す。
汗に混じって香水の香りがする。
久しぶりに感じる生暖かい、自分ではなく他人の温度に二人は興奮した

「クラウドって経験あるだろ。男との」
「…ティーダもな」

「うん。…なぁ、俺我慢できない」

ティーダは切羽詰まった声をあげる。
見ず知らずの土地で、赤の他人と一日中ずっと一緒だった。寝る時でさえも。
それは敵の奇襲に対処するためと名目はあったものの、溜った欲求を発散出来ないことはこの上ないストレスになっていた

「しょうがないな」

クラウドはしぶると決め込んでいたティーダはその返事に再び驚く。クラウドも余裕ぶった態度だったが、頬はいつもより赤みが増している。フリオニールにが帰ってくるかもしれないという焦りやテントで事に至るのに迷いはあったが、どうにも抱き付いてきたティーダの熱に浮かされてどうでもよくなる。

ティーダが煩わしそうに上着を脱いで、クラウドもバックルを外す、裸になるのも億劫だった

「クラウドの手冷えてて気持ちいいスね」
伸びる手がぴたりとティーダの胸に触れる
「ティーダは熱いな…」

心臓がドクドクと脈打っている。鎖骨からヘソのラインをなぞり、クラウドは下腹部に手を掛けた

「ちょっ、クラッ」

呼んだ名前は最後に声にならない悲鳴で掻き消される。ゆるく反応していたティーダのものを戸惑うことなくクラウドは口に入れた
それをべろりとひと舐めすると深く喉に招いて吸い上げる。
片手は添え、空いた手も愛撫も忘れない
クラウドの口の中でティーダの熱はみるみる増していった

「う、っあ…くっ、」
「…」
「ックラウド!」

ティーダは一人早急に乱されていく状況に悪態を吐く。焦りと腑甲斐なさだけにクラウドのはだけた上着へと手をのばした。しかし、がむしゃらに伸ばした指が胸の突起をかすめ、途端集中していたクラウドは電流が走ったかのようにビクついた

「ッ…!」
「俺ばっかじゃなくて触らせてくれよ。いいだろ?」

息も荒く問い詰めるとクラウドは少し困ったように頷いて口元を拭う。
ティーダがクラウドのズボンを下ろし、中に手を入れ下半身に触れた時点で、はたと気付く。

「…凄い濡れてるんだけど」
「…!」
「俺の舐めてて興奮したんスか?」

クラウドは一瞬で耳まで赤くなった。
ティーダがそれを取出し、扱きだすと粘着質な水音が手のひらから漏れる。図星でされるがまま息を荒くしたクラウドは本能のままティーダの唇を奪った
 
下唇をついばみ、溢れた唾液を己の舌でぬるりと絡め取る。互いの荒い息ををぶつけ、下半身を摺り合わせる。ティーダの手にクラウドは自分の両手を重ねて腰を降った

「うっ、ティー…ダ」

クラウドは上ずった声で名前を呼ぶ。首筋には汗が張りついている。ティーダは空いている手をのばし彼の前髪に指を絡めた
伏せた瞳は綺麗なブルー。海や空の青さではない不思議な光をまとっている。それは今、滲んだ涙に包まれてティーダを見つめた

「…クラウド、綺麗」
「っ、ん、」
「はぁ、」
「…(ティーダは、かわいいな)」

目の前の薄い唇が弧を描く。
クラウドは弄る指先を先端に強く押しつけた。ティーダは切ない吐息を漏らす。前に与えられる刺激にそれはとっくに張り詰めていた
それと同時に後ろが疼いて仕方ない。
快楽に慣れた体は先を欲しがってしまう。それはクラウドも同じで、二人は刺激を与えているのに一向に果てられないもどかしさがあった。
ティーダは無意識でクラウドに足を摺り寄せ、もっとと熱を求める

「ティーダ、入れるぞ」
「えっ、あっ…!」

痺れを切らしたクラウドは先走りのついた指をティーダの後ろへと回した。湿り気を帯びた中指を滑らせるようにナカへ入れる。ティーダは戸惑ったように視線を向けたが欲しかった充足感に声を上げて震えた

「クラ、ウドッ、もう俺、」
「…ああ、先にイけ」
「…はっあ、っ!」

奥まで指を進め、ぐるりと掻き回すように撫でる。クラウドの指が前立腺の前を執拗に擦ればティーダは呆気なく果てた。べたりと精液がクラウドの手のひらに飛んで、ティーダは脱力する

「気持ち良かったか?」
「うん…てか、クラウドがまだじゃん」
「俺は…」
「ちゃんと面倒みるっスよ」
「でもティーダ、」

「あれっ!、フリオニール!?」
「…ッ!」

間が悪いとはこの事。テントの入り口幕に隠れてフリオニールは立ちすくんでいた。
申し訳なさそうに眉を下げているが顔は真っ赤で今にも蒸気が上がりそうな様子である

「盗み見るつもりはなかったんだ!!というか大体テントで二人は何やって…!!」

見つかった事に動揺して二人の視線にフリオニールは口をパクパクと意味のない開閉を繰り返し、視線を彷徨わせている。完全にパニック状態だ。仕舞いには頭を抱えて俯いた

「フリオニール」
クラウドはしどろもどろの謝罪や言い訳の言葉を過って彼の名前を呼んだ
フリオニールは顔上げて後悔した。クラウドは至極嬉しそうに微笑んでいる

「おいで」

手招きしながら妖艶に誘うクラウドにフリオニールが「ゴクリ…」と生唾を飲む音が静かな夜の帳に響いた
 
 
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「心配するな。俺が全部してやる」
ああ、どうしてこうなったんだろう。
フリオニールには自分に覆い被さるクラウドを見上げながら動けず、ただじっとしているしか出来なかった
何かのスイッチが入ったクラウドは自分の前で羞恥も何も無い、あられもない姿になっている。自分も二人に服を剥かれ、ほぼ裸だ

そばにいたティーダに目線で助けを求めるが、こちらを見て楽しそうにニヤニヤと笑うだけ。

「そう力むな、力を抜け。リラックスしろ」
「しかし、クラウド…」

首筋に腕が回されより体が密着する。情けないことにフリオニールは二人の痴態を目の当たりにして下半身は緩く反応していた
クラウドがゆっくり唇を押し当てる。
何かアクションを起こすたびに大袈裟にビクつくフリオニールを、クラウドは半分面白がっていた
口内に入り込んだ舌は好き勝手動き回り、やがてフリオニールの舌に絡まる。口端に流れる唾液もそのままに、クラウドはフリオニールへと手を伸ばした。

「くっ…!」

初めて他人に触れられる感触は想像以上のもので気持ちいい。フリオニールは咄嗟に出そうになった声を唇を噛んで耐える。

「なあ、俺も混ぜて!」
「ティーダッ!?」

二人を見つめるだけだった少年は悪戯心がわいたのか、後ろからクラウドの背中に抱き付いた。

「さっきのお礼っスよ」

鼻歌でも歌いだしそうなご機嫌な声色である。ティーダはクラウドの胸元に手を掛けた
 
「アッ、…ん、ティーダ!」

胸の尖りを摘むとクラウドの鼻に掛かかった声が漏れる。ダイレクトに耳元で喘がれたフリオニールの心臓は跳ねた。何て声を出すんだ!
クラウドに負けないくらい顔を赤くしたフリオニールを見て、ティーダは笑う

「クラウド、もう入れてやったら?フリオニールガチガチになってるッスよ」

そっとクラウドのアナルへと指をのばす。クラウドは切なげに振り返り、フリオニールに至っては混乱して目を白黒させていた。
入れる?何を言って…、そんなことを考えているうちにクラウドが腰を下ろした

「く、クラウド!?」
「は、ぁ…」
思わず甘いため息が漏れた。フリオニールの自身を片手で支えながら、クラウドはゆっくりナカへと入れていく。
その間もティーダの手が平らな胸やクラウド自身に愛撫を続けている為、クラウドは引っきりなしに身体をビクビクと快楽に震わせる。

「う、熱い…!」

自分よりもはるかに熱い体温とぎゅうぎゅうと収縮するナカに目の前が真っ白になる。
荒く息をついたフリオニールには耐えられず腰を突き上げた。

「あっ、あ、フリオニール!」
「クラウド、すまない!」

ガツガツと下から抉るように動くとクラウドの体が跳ねる。汗と我慢汁が混ざって、クラウドの腹はベトベトだった。

「クラウドやらしー」

ティーダはクラウドの肩に首をおいて、ピタリとくっついていた。喘ぐクラウドを見ながら前に手をのばす。指先で弾けば、今にも達しそうなくらい張り詰めている。

「くっ、」
「はぁ、んっ…あっ!ティーダ!」
「イっちゃえ」

ティーダの指が自身を乱暴に扱いた瞬間、クラウドはとろとろと精液を飛ばし、果てた
その締め付けでフリオニールもクラウドのナカで絶頂を迎える。

「んっ…」
「えっ」

一息つく間もなくクラウドはのろりと腰を上げ、フリオニールから降りた。唐突な行動にフリオニールは戸惑う。しかし、その太股に自分の精液が垂れ流れているのを見て、赤くなりながらバッと目を逸らした。
自分はクラウドを抱いたのだと自覚した途端、羞恥やら後悔やら色んな感情が押し寄せてきた

「クラウド!気持ち良かった?」
「…ああ、スッキリした。ティーダは良かったのか?入れなくても」
「…俺はクラウドでもう一回抜いたからジュウブン!」

「…!お前ら!」
フリオニールは悲しかった。何が悲しいのかもわからないが。物凄い消失感を感じる。
何か大事だったものが音を立てて壊れていった。自分の童貞とともに。

もしかして俺達の年代だと当たり前のことなのか?
何事もなかったようにタオルを取り出して体についた汗や精液を拭き始める二人に悪意はない。
だがフリオニールには刺激が強すぎた
男とセックス出来るなんて、しかも自分はクラウドと繋がってしまった。話を察する限りティーダも抱かれる側の人間のようだし。
みんな経験あるものなのだろうか!?
いや、そんな、まさか

「なーにぶつくさ言ってるんスか?」
「もう寝るぞ?」

クラウドは言い放つと同時にランプの明かりを消してしまった。これからフリオニールの眠れぬ夜が始まる。



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20110621



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