オニオンナイトの絶叫が聞こえた。フリオニールはコテージの方を振り返る、が彼の元へ助けに行くことは出来なかった。目の前に迫るクラウドの剣に息を飲み、彼は全滅を覚悟する。視界の端で倒れるスコールにも手は届かない。

「光よ!」

しかしフリオニールの意識が途切れそうな中、聞き慣れた声と共に地面を閃光が走った。四人の剣が吹き飛び、弾かれ宙を舞う。体が仰け反るような衝撃でクラウドとセシルはたじろぎ、まばゆい光に目を眩ませ怯んだ。
困惑と安堵の眼差しが争いに介入してきた人物へと向かう。
その場にあらわれたのは我らが光の戦士だった。



「一体何があったんだ?」

バーサクにかかったセシル、クラウドそしてティナもウォーリアによって正気に戻された。少々手荒い強行手段だったが、最終的には彼の手刀により全員ノックアウトされ、コスモスの戦士全員が彼によってフェニックスの尾で蘇生される事態になった。
四人に適う力量を持っているのは彼しかいなかったし、コスモス軍全滅の非常事態に誰も彼に何も言うことが出来なかった。
しかし、ようやく混乱の解けた状態で、コスモスの戦士たちは精神的にも肉体的にも疲労感の漂っていたが少なからず、ほっとした表情を9人は浮かべていた。

けれど事件の真相はいかに。
固い表情のままのウォーリア・オブ・ライトを囲んで戦士たちは首をかしげたり、困ったようにため息を吐く。
最初の被害者はジタンとティーダだった。

「俺とバッツがコテージに行ったらいきなりセシルが襲ってきたんだけど…」

「そうそう!セシルとクラウドがポーション飲んだらいきなり暴れだしたんスよ!」

「…皇帝の罠か?」

「いや、それなら俺たちが混乱した時点で奇襲にかかるはずだ。カオス側のトラップとは思えない」

フリオニール、セシル、クラウド、ティーダの四人は元々事件当日の朝から行動を共にしていた。イミテーションの討伐から戻った時にはコスモス本拠地の異変はなかった。
フリオニールは食事当番だったため一人別行動をとり、三人は体力を回復しようとコテージへ向かったのだった。

「ポーション?」

「…確かに。ポーションを飲んでから記憶が無いな」

「二人が飲んだのはポーションじゃないよ」

オニオンナイトは空になった瓶をかかげ、全員に見せる。
それを見たフリオニール、セシル、バッツはラベルの文字にハッとした。

「バッカスの酒?」
「何でそんなものが、あそこにあったんだよ?」
「確かにこれなら僕たちがああなったのもわかるけど…」

「え、待ってくれよ。何だよそのバッカスの酒って」

「んー、簡単に言うと飲んだ人の攻撃力が上がる…いわゆるバーサク状態になるアイテムかな」
「酒でか?」

「一説によるとバッカスっていうのは、古代に崇められたお酒の神様らしいよ。」
「ふーん、さすがタマネギ賢者博識だな」
「その言い方止めて」

「…まさか、誰かが回復薬と間違えて持ち込んだのか」
「えっ、そんなことあるのか?」
「でも他には考えられないしなぁ…」


「すまない。それを拾ったのは私だ」

9人がお互いの顔を見つめあうなか、申し訳なさそうにぽつりと呟いたのはリーダーであるウォーリアだった。



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20110914
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