暑そう


「なにやってんの?」
「ん?」
「そんな暑そうな格好して扇風機にあたってるってなんか矛盾してない?暑いんだったら半袖着るとかもっと考えなよ」
「あー」
 長袖長ズボンのパジャマ姿の彼はちらりとこちらを振り向いたけれどまたすぐ扇風機といえばこれだよねとばかりに声を出している。ちょっと、人の話聞いてる?
「まったく。どうせ面倒くさがってまだ夏物出してないとかなんでしょ?やったげないよ。自分でやんなよ」
 こっちはとっくに衣替えは済ませている。一方の彼はどうにもこうにもいかなくなったところでやっとやり始めるタイプだ。ちなみにそれは衣替えに限った話ではない。
「いいんだよーこれで。ほら、なんていうか……あれ?今なんかいいたとえ思い付いたのに忘れた」
「なに言ってるのさ、さっきから」
「あーそうだつまりちょっと肌寒いな、て時に毛布にくるまると心地いいじゃない?それの逆みたいなこと」
「は?何言ってんのか分かんないんだけど」
 やれやれ。この人には溜め息つかされてばかりだ。



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