ジャンプ
ふとした時に、ぽん、と、とんでしまいたくなることがある。
「あーあれやってみたいかも。バンジージャンプ」
「ええ!?なんで!?あれ超怖そうじゃん!」
私の呟きに友人が横から即ツッコミを入れてくれた。相変わらず反応のいい子だ。
「んー」
なんで?って言われても良く分からない。ただ「とぶ」のイメージがちょうどそんな感じだった。高い所で、両手を広げて、いちにのさんで、ぽん、と。
「……なんとなく?」
けれどもそれをうまく説明できずに、結局それだけしか言えなかった。
「えー、怖いってー。もし何かあったらどうすんのー」
「何かって?」
「たとえばヒモが切れるとか」
「あー、それはそれで」
悪くないかも。
「え?ちょっと大丈夫?何か悩みがあるなら聞くよ?」
「いや別にそういうんじゃないから」
私は笑った。
ただ、何かを越えたかった。まとわりつくものすべてを振り切って、なんていうか、突き抜けてしまいたかった。
ふと、とんでしまいたくなる。
高い所で、両手を広げて、いちにのさんで、ぽん、と。
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