「うっわー。今日もヒドいなあ」
 パソコンの画面をのぞきこんで、心底嫌そうに彼女は言った。
「なに?どうしたの?」
 私が画面をのぞきこむと、開いていたのはメールソフト。
「あー、迷惑メール?」
「ほら見て?新着メール件数が3ケタに昇ってるよ。しかも100パー迷惑。ありえねー」
「なんか対策とってないの?」
「一応はね。とりあえずそっこーでゴミ箱に放りこんでくれる」
「じゃあなんでわざわざそのゴミ箱をのぞくのよ……」
 画面にはいかにもなフレーズがずらずらと並んでいる。よくもまあ。
「こーいうの見るとさあ、いつも思うんだよねえ」
 彼女は画面をスクロールさせていきながら、言った。
「人間ってなんのために生きてるんだろうって」
「……それは難しい問題ね」
「でも、少なくとも」
 彼女は溜め息をついた。
「こんなことのために生きてるわけじゃないよね」



その他小説/小説トップ
- ナノ -