花粉症


「ぶえーっくしょい!!」
「うるせえなあ、ユウ」
 僕の大きなくしゃみに、セイから即ツッコミが入った。
「すみませんね」
 僕は鼻水をすすりながら、涙目でセイをにらみつけてやる。もっとも、彼は椅子を倒しそうな勢いでそっくり返って天井を仰いでいるから、にらんでも全く効果はなさそうだった。
「花粉症なんですよ。仕方ないでしょう」
 僕は文句を言いながらティッシュの箱を引き寄せた。箱ティッシュはすでに僕専用になってしまっている。勢いよく数枚引きだし、涙をふいて鼻をかんだ。
「まったく……。いくら花粉症だからといっても、もう少し遠慮というものがあるでしょう」
 すると顔をしかめておシゲさんまでそんなことを言った。ひどいや。
「二人とも花粉症じゃないからそんなことが言えるんですよ」
 今ふいたばかりなのに、すぐにまた目はしょぼしょぼしてくるし、またくしゃみが出そうになる。僕だってなんとかできるものならなんとかしたいんだ。
「ていうかなんとかしてくださいよ」
「知らねーなー。そんくらい自分で解決しろよ」
「相談所のくせに所員の相談には乗ってくれないんですか」
 涙目でやけくそになりながら訴えてみると、あっはっは!とセイに大声で笑われた。



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