おかえり


「ただいまー」
「ただいま」
「ああおかえり。うわ、すごい荷物だね」
 たくさんの荷物をそれぞれ抱えて、ライエとファイが帰ってきた。洗い物をしていたシェイアが二人を振り返って目を丸くする。
「そっちこそ今日もすごい頭してるな」
 寝癖だらけのシェイアの頭にライエも目を丸くした。むうっとシェイアは口をへの字に曲げて、
「ほっといて。お出かけって買い物だったの?」
「いや、買い物はついでのはずだったんだが」
 ライエは首をひねりながら荷物をどさどさとテーブルに置いていき、最後に、そうだ、と呟いてシェイアに封筒を差し出した。
「お前に手紙がきてたぞ」
「え?」
 シェイアはそれを見て、うわ、と顔をしかめた。
「何だろう。なんか嫌な予感がするなあ。まあいいや、そこ置いといて」
 受け取りたくても洗い物の途中の泡だらけの手では受け取れない。あごでテーブルを示すと、はいよ、とライエは頷いた。
「ああふたりともお帰りなさい。ご苦労様」
 二人が帰ってきたのに気付いて奥からツァーランもやってきた。
「ああなんだ、ツァーランが頼んだの?買い出し」
「ええ。殿方が市場に出向いてくださることなんてめったにありませんから」
 にっこり笑ってツァーランは言う。ライエはやれやれと肩を叩きながら、
「まったく、ここぞとばかりに重いものばかり頼みやかって」
「あら、年寄りにはつらかったかしら?」
「年寄り扱いするなよ」
 結局ライエのささやかな抗議もツァーランには一蹴されてしまった。口でツァーランにかなうわけがないのだ。



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