仲良しだね


「おやお二人さん、仲良しだねえ」
「あ、先生」
 私が涼先輩の髪をお下げにしてあげていると、入って来た波多野先生にからかわれた。
「ていうかまた可愛くしてもらってるねえ。よかったねえ涼くん」
「はいはい」
 先輩は動じもせず勝手に言ってろといったふうだ。私は変にドキドキしてしまってさっきから手元が狂いっ放しなのに。余裕のある先輩の様子がなんかちょっと悔しかった。
「あー、やっぱ自分のやるのと人のやるのとじゃ違いますね」
 結局うまくいかなくて、私はそんなふうに言いながら先輩をお下げにするのを断念してしまう。
「そう?」
「練習しておきますね。今度はお団子とかやってあげます」
 私は少し笑って先輩から離れた。
「どうせなら千秋ちゃんみたいなポニーテールがいいな」
 先輩が笑顔でこちらを振り向いた。
「お揃いですか」
「うん」
「二人ともほんと仲良しだねえ」
 また先生が言った。そんなんじゃありませんとは言えず、私は曖昧に笑ったままだった。



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