どっこらしょ
「おーいマスミー」
「はーい」
呼ばれて見ると所長が段ボール箱を抱えてやって来ていた。
「うわ、何ですかそれ」
「あー、過去の資料」
所長は私の机の横にどんと段ボール箱を置いた。
「まさか片っ端から見ていくんですか?」
「うん。よろしく」
「はあ」
私は段ボール箱を見下ろした。大きくて重そうだ。意外と資料がたまってるんだなあ。
「なんか怪しいのあったらチェックしといて」
「はい。あれ、所長は?」
私は所長を見て首をかしげだ。所長は何やら出かけようとしている様子だ。
「あー、俺はちょっとまた依頼人に会ってくる」
棚からファイルやら何やらを取り出して鞄に突っ込んでいる。
「せめて似顔絵ぐらいは欲しいところだからな。ちょっと描きに行ってくるわ。シーナ!行くぞ」
「はーい」
ああなるほど、と私は二人を見送った。実際に似顔絵を描くのはシーナさんなのだ。
「え、依頼人に会いに行くんですか?僕も行きたいんですけど」
「は?何言ってんだよユウ、お前はお前の仕事があるだろうが」
「イテ」
ユウさんが所長に小突かれている。私は段ボール箱を開けてみた。どうやらただ詰め込んであるだけみたいだ。これはついでに整理しながら見ていったほうがよさそうだった。
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