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創作メモ 20/11/14 Sat 23:47
秘密組織の朝は早い

 目が覚めた。
 起きあがるとそこは当然といえば当然ながら、ゆうべ寝る前と同じ布団の中、ベッドの上、部屋の中だった。家のあたしの部屋とは違う、広くて殺風景な部屋。わけも分からず連れてこられた、『悪の秘密組織』の研究所の一室だ。
 窓の外からは明るい光が射し込んできていた。もうすっかり朝だ。そしていい天気だ。そうか、こうして寝て起きてもやっぱり何も変わらなかった、秘密組織も特殊能力もスーパーヒロインも眠り姫も焼肉も、全部夢じゃなかったんだなあ、と思い、確かに自分は諦めが悪いのかもしれないと思った。
 ゆうべはあの歓迎会の後、この部屋に戻ってきたところで急激に眠気が襲ってきて、今日は大変だったなあとか感慨にふける間もなく眠ってしまったのだった。もしかしたらただ単にとても疲れていただけなのかもしれないけれど、もしかしたらあたしの知らない間にお酒か薬でも飲まされていたのかもしれないし、もしかしたら誰かに催眠術でもかけられていたのかもしれない。
 ……。
 うん、やばい。発想がおかしくなってる。
 いやな気分を振り払うようにあたしはぶんぶんと首を振った。やりすぎたのかちょっとだけ頭がくらくらした。


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