貴方に全て差し上げます。


スパーダ様は、世界を救う旅に出ていたのだとすべて終わった後に教えていただきました。
冒険の話を、前世や転生者等色々な事も交えて話してくださいましたが、学の無い自分が理解できたのは辛く厳しい旅だったという事だけでした。
旅のお仲間様方は各々の日常へと戻って行き、スパーダ様もまた日常へと帰って行かれた、筈だった。


王都へ戻ったはずのスパーダ様は旅支度を整えてまたナーオスの町の養父の家へとやってきて、半ば拉致のように自分を連れてまた旅に出ると言うのだ。
いつの間にか養父によって整えられていた旅支度と共に担がれて船に運び込まれた自分は、船の上でそれを聞いた自分は正にスパーダ様のなされるがままだった。



「行くぞ、カルロ。今度は俺達の旅だ。」



やりたい事が有るんだと可愛らしく笑って手を差し伸べるこの人の手を払い除ける事等出来ましょうか?いえ、自分には出来る筈が無いのでしょう。



「これで、自分が拒否したらどうするつもりだったんですか…」
「あぁ?お前が拒否る訳ねーだろうが。」
「まぁ、そうですけどね。」



差し伸べられた手を取ればスパーダ様の横へと並ばされる。



「俺はもうこの手を離さねぇと誓うから、お前も誓え。俺の傍を離れるんじゃねぇぞ。」
「はい、自分の全てスパーダ様にお渡しします。」



忠義を誓う元野良犬は何時までも主人の傍を離れようとも思えません。
連れて行っていただけるのでしたら、何処へでもお供致します。



「もう主従じゃねぇんだから、敬語も様も禁止な!」
「それは、おいおいと言う事でお許しください。」



無邪気な貴方に心臓が持つかどうか、そればかりは自分でさえも分かりません。





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