忠誠心は邪魔なだけです


「お前…カルロか?」
「はい、スパーダ様。お元気そうで何よりです。」


驚いた顔でかけられた声に、笑顔を作ってご挨拶を一つ。
最後にお会いした頃よりも心身共に成長されたご様子で、懐かしさと愛しさが込み上げてくる。
以前、この町に来られたのは養父に聞いて知ってはいたけど、お会いすることは叶わなかったものですので、とても嬉しい。
どんなに成長されても、目元は可愛らしいあの頃のままだ。


「お前、今まで何処に居たんだよ!!」


剣を抜いて突きつけてくるスパーダ様にお連れの方々は驚いたご様子だが、スパーダ様の癇癪には慣れている。
直情的で感情のままにぶつかってくるその姿はとても愛おしい。


「何処に居たも何も自分は養父と共に居りましたよ。」


驚いたままのお連れ様方を尻目にそのまま自分も剣を抜いて切り結ぶ。


「ハッ!なまっちゃいねぇようだなぁ?」
「スパーダ様こそ相変わらずお強いようで、何よりです。」


鍔迫り合いを弾いてからお互い剣を戻す。


「あの…スパーダ?」
「なんなのよいきなり吃驚するじゃないの!」


お連れ様方の声にハッとしたスパーダ様の一歩半後ろで礼をする。


「申し遅れました、自分はハルトマンの養子のカルロと申します。皆様方のお噂はかねがね伺っております。スパーダ様がお世話になってらっしゃるようで…。」
「けっ、俺がお世話してんだよ。」
「ははっ、スパーダ様は冗談がお上手になられましたね。」
「うっせー!」


軽く言い合っていれば、お連れ様方の呆れた顔が目に映る。
あぁ、スパーダ様があんまりにもお可愛らしいものですから、つい。


野良犬だった自分でも犬らしく、初めて手を差し伸べてくれた人に対する忠誠心だけは持ち合わせて居るのですよ。
まぁ、時々、嫌になりますけど。


ね、スパーダ様。





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