眠るきみに秘密の愛を





朝早くに旅の仲間たちは研究所に行くと言って出かけて行ったらしい。
なんでもバルカンさんの武器が有りそうな気がするらしい。

らしいらしいばかりなのは、私は寝坊して宿屋に置いて行かれたからである。
今は悲しいのでナーオス教会の書庫に一人籠っている。


べ、別に泣いてないし。



「世界を救う旅の途中でも文献を調べるのを辞められないのは職業病ってやつだから仕方ないよねー。私ってば勤勉だからさぁ、やっべー一人楽しすぎるわー。」



誰に言うでもない独り言を重ねながら片っ端から本をめくる。
知識を得るのは嫌いじゃない。どんなにあっても困る事ではないしね。


そういう訳で、タウさんが怪我をしたと私が聞かされたのは、夜もとっぷり更けた後だったのでした。通りでいつもなら頃合いに迎えに来てくれるタウさんが来ない筈だよ…


「罰としてモナはコンウェイの看病をする事、良いわね?」
「…はーい。」


夜まで書庫から出てこなかったことをイリアちゃんに凄く怒られたけど、私を置いてった皆が悪いと思うんだけどなぁ。いや、そういう文句を一言でも漏らせば集中砲火を食らうことは目に見えてるので何も言いませんけどねーだ。



痛み止めで深い眠りに落ちているタウさんの顔を覗き込む。
脂汗が浮いていて辛そうだ。
あぁ、痛いんだろうなぁ。


「私を置いていくからそんな目に合っちゃうんだよ?」


私がいたらタウさんの傍から離れないで全部蹴散らしてやるのに私を置いてくから悪いんだ。


「心配するから、もう置いてかないでくださいね。」


濡れタオルで汗を拭ったり寝顔を眺めたり、そうやって甲斐甲斐しくお世話するのも悪くないけど、私はやっぱり仕方ないねと言いながらも世話をしてくれるいつものタウさんが良いな。



「…私、コンウェイさんの事、好きなんだよ?」



熱くなる頬を押さえて、蹲る。
聞こえてない事を知っていて言う私はとても卑怯だ。
こういう時じゃないと名前を呼べないのも悔しいなぁ。



早く元気になってくれないかな。



「ついでに本気になってくれても良いんだよ?」




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