8 あえないかみさま
広島で行われるという、インターハイには行きたくなかった。
きっと、箱学は出場しているだろうし、靖友はなんでも器用にこなせてしまうから、選手として出てないはずが無いし。
出てなかったらあの眉毛が靖友の才能に嫉妬して潰してるに違いないね。
忘れたもう関係ないと頭で思ってもそれでも心は中々追いついてくれなくて、今もまだ寮に置いてきた狼のぬいぐるみと同じものを捨てられない俺はなんて未練がましくて女々しい男なんだろうか。
「金城、頑張って。」 「あぁ、期待して待っていると良い。」
ただの我儘を聞き入れてくれる事に感謝をしているよ。 俺は大人しく留守番しているから、お前達が優勝トロフィーを持ちかえってくるのを楽しみにしているよ。
この選択を俺は後で激しく後悔する事になるのだけど、この時の俺は呑気なもので、部員の殆どが居ないうちにと部室の大掃除を始めたのだった。
俺はこうやってまた大事な時に傍に居ないで、大事にしているものを簡単に壊されてしまうんだ。
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