6 かみさまひとりぼっち
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俊哉はぬいぐるみが好きで、ゲーセンに行く度になにかしら取ってくる。
手触りが好きらしい。
そのせいで寮のオレ達の部屋には俊哉が取ってきたぬいぐるみが溢れてて、邪魔んなるから捨てろって言ってんのにアイツは聞きやがらねェし、一つ一つに名前までつけて可愛がっているようだった。
その名前の殆どが『ヤストモ』だった事には流石に閉口したが、それでもその『ヤストモ』達を可愛がる姿は悪ィもんじゃ無かったし、俊哉が楽しそうにしていたから日々増えていくぬいぐるみにも何とか慣れてきていた頃だった。
「おい、俊哉、この間の課題なんだけど、さァ…」
部屋の扉を開けて飛び込んできた光景に息が詰まる。
大量にあったぬいぐるみ達は一つを残して全て姿を消しており、俊哉の私物は一つも残っていなかった。
「ッんだよこれェ…」
驚きで動かない頭を何とか動かして考える。
あぁ、そうだこれは俊哉の質の悪ィ悪戯だ。
そう、結論付けようとしたところで、一つだけ残された目つきの悪い狼のぬいぐるみが抱えた紙切れを見つけてしまう。
手を伸ばして中を確認したところで、悪戯の可能性は消え失せた。
「っざけんなヨ!!!」
紙切れをぐしゃりと握りしめたまま机に手を叩きつける。
なァにが、さよなら靖友だ!! あんだけ好きに付き纏ってきて、突然だなんてあんまりじゃねェの?
「黙って居なくなんのは許せねェ。」
例え、どういう理由だとしても、だ。
黙って居なくなんのは、ほら、アレだ、俺に失礼だろうがァ。
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