06









「…落ち着いたか?」
「ばい、ずみばぜん…」






ぐすぐす鼻をすすって、ため息をつく。
土門くんと別れたこと、知られちゃった。
ずっと黙ってられるとは思ってなかったけど、まだ知られたくなかったのにな。





「すまなかったな。」
「や、別に、鬼道くん悪くないし…」
「そうか。」
「うん」





覚めて温くなったコーヒーっぽいものを淹れなおしてくれた鬼道くんは、私の隣に腰掛けて、自分のカップの中のコーヒーをすすった。
ブラックだ。鬼道くんは大人だなぁ。羨ましい。



人の優しさに甘えている自覚はあるけれど、それでも、このぐちゃぐちゃになった感情を抱えて蹲るのは、私には無理だ。
ごめんね、鬼道くん。と心の中でだけ呟いて、鬼道くんと並んで座る私は一度大きく息を吐いた。







「私から、別れるって言ったの。だって、遠距離恋愛とか無理だし、離れたら不安で、怖い。私はまだ中学生だから、アメリカになんてついて行けないし、土門くんに行かないでなんて言えなかった。物わかりの言い振りして、さよならしたの。本当は別れたくなかったし、今だってずっと好きだし、出来ることなら、アメリカに今すぐ飛んでいきたいし、、」






一度はおさまった涙がぶわっと溢れて、視界が歪んだ。





「やだよぅ、ほんとは、別れたく、無かったのに、土門くん、土門くん、どもんくん、、、」







こんなにも、貴方の事が好きで好きでたまらないのに、今は、それを認める事が恐ろしい。






よれよれの手紙は読む事も捨てる事も出来ずに、未だ私の鞄の中で未練がましく燻っていた。









「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -