土門くんがアメリカに出発する日を知ったのは、当日の夕方の事だった。
一之瀬くんの見送りに行ったリカちゃんから、絵文字たっぷりのメールで、彼氏の見送りをしないとは薄情だと言われて初めて、今日がその日だったのだと気付かされた。
『別れたから良いの。』
絵文字も顔文字も使わない簡素な文章でそう送れば、即座に電話が掛かってきた。
せっかくだけど、電話に出る気にはなれなくて、電源を切っておく。
「本当に行っちゃったんだなぁ…」
快晴の空に飛行機は見えないけれど、ベッドに寝転んだままぼんやりと空を見上げていた。
もう会おうとしないと二度と会えないんだろうなぁと考えて、息を吐いた。
さよなら、大好きな人。
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