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学校へ近づくたびに大きくなるざわつきに今直ぐ耳を塞いでしまいたいのに、私の隣りを平然と歩く人がそんな事は許してくれない。

胃が痛いなぁ。




「ねぇ、土門くん。」
「なに、恵梨花。」




土門くんが私を名前で呼んだ事でまたざわめきが大きくなった。




「一体どういうつもりなの?」




なにを、どうしたいの?
訊ねれば土門くんは薄く笑った。




「どういうつもりも何も、オレ達晴れて昨日から付き合い始めたんだから、一緒の登校くらい当然だろ?」



女の子の悲鳴が上がるほどの甘い笑顔を浮かべた土門くんは私の手の甲を自分の口元に持っていって、キスを落とした。




上がる悲鳴、激しくなるざわめき。
集まる視線。







ああ、嫌だなぁ、嫌だなぁ。








俯く私に、笑う土門くん、勝手な憶測を飛ばす通行人達。

世界の終わりのような顔をした私に、土門くんが追い討ちをかけるのは、後少し。




自分の身に鞭は打ちたくないんです






「今日から、サッカー部のマネージャーだから。」
「だめ、むり!!」




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