08




土門くんの隣を歩く私。
私の隣を歩く土門くん。

教室に居るときと距離感は同じなのに、なんだがぎくしゃくしてしまった。

緊張からがちがちになっている私。ロボットになったみたいに右手と左手が同時に出たりして、頭の上の方で土門くんが笑った。

恥ずかしくて睨みつければ、ごめんとまた笑って、私の頭を撫 で た 。

途端に、ボンと赤く染まる私の顔を見て、土門くんはごめんと言ってまた笑った。





「土門くんは優しいね。」





まだ残っている照れから土門くんの方は向けないし、黙って歩くのもなんだか気まずくて会話の糸口にでもと思って投げた言葉に一瞬で空気が変わった。
笑っていたはずの土門くんの声が聞こえなくなって、なにか失言をしてしまったのだろうかと考える。
考えて、考えても、心辺りが見つからなくて、土門くんの方は見れなかった。





「俺はただの卑怯な偽善者でしかないよ…」





小さな小さな声で発せられたその言葉を上手く受け止めることなんて出来なくて、その後すぐに、買いかぶりすぎだよっていつもの土門くんが笑った。







垣間見た世界。












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