傍観編 24





混乱する彼女を宥めてもう寝るように伝えてから天女様の部屋を出る。
そのまままっすぐ学園長先生の部屋へ向かい軽く話を付けてから、忍たま長屋の自室へと足を向ける。
やっぱりどうするかは決めかねているけれど、大体の方向性は決まった、かな?
正直どうして俺がこんな事と思わなくもないけれど、本当の意味で彼女の気持ちを理解できるのはきっとここには俺しか居ないから仕方ないね。



「別に、全部一人でやる気は無いし。…ね、勘ちゃん。」



長屋の廊下の天井に声をかければ苦虫を噛み潰したかのような顔の親友が落ちてくる。
くの一長屋の中に居る間以外はずっと着いてきていた訳だけど、俺が気付かないとでも思ったのか。失礼な。



「勘ちゃん、俺と一緒に戦ってくれる?」



俺だって少しは気持ちが分かってしまうから勘ちゃんがあの子の事を嫌いでも仕方ないと思う。
でも、あの子を助けたいと思う俺は嫌わないで欲しくて、何があっても俺を信じて欲しいと思うのは我儘なんだろうか。




「当たり前だろ、馬鹿叶!」




即答した後に、俺が友達見捨てると思ってるなんて心外だと怒り出した勘ちゃんに感情のままに飛びついた。




「本当は凄く寂しくて、凄く悲しくて、凄く怖かったんだ。」




突然友達が離れて行ってしまって本当は寂しかったんだ。
突然学園の空気が変わってしまって本当は悲しかったんだ。
自分がどんなに寂しくても自分がどんなに悲しくても、どんなに嫌だと泣いて喚いて暴れても、手放したくないもの程あっさりと失ってしまう事を知っていたから、仕方ない事だと自分に言い聞かせて諦めることはとても楽だった。
本当は勘ちゃんまで何処かに行ってしまうんだって疑ってた。





「ごめんね、勘ちゃん。ありがとう。」




俺、あの日常が好きだったんだ。
あいつらが好きなんだ。
本当は失くしてしまいたくなんて無いんだよ。




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