傍観編 23






「まいったな、泣かせる気は無かったんだけど…」



彼は眉を寄せて困ったように笑った。
私は泣き声を押し込めて絞り出したごめんなさいを吐き出した。
八つ当たりだったの。
怖かったの。
現実を見たくなかったの。
次々と出てくる言い訳の言葉に彼は大丈夫だよと私の手を握った。




「俺に虎先輩が居てくれたように、君には俺が居てあげられるよ。そうだ、内緒話、もうひとつ教えてあげる。」





そう言って私の手は彼の手に導かれるままに彼の胸に触れた。
布で押さえられているのか手ごたえは薄いものだったけれどそこには確かに触りなれた膨らみを感じられた。





「ね、内緒話共有したら、運命共同体だよ?」





そうして彼もとい彼女は混乱する私の顔を見て、悪戯っぽく笑ったのだった。






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