「さて、本題に入りましょうか。」
お茶を一口飲み下してから、叶さんに目をやれば表情がさらに強張った。
そんなに怯えなくてもよろしいのに。
「我ら、くの一教室一同は叶さんを全面的に支援することに致しましたの。」
「…そりゃまた唐突な話だね。俺はまだどう動くか決めかねてるってのに、せっかちな人だ。」
驚いた顔の後、直ぐに困ったように笑った。
「あら、時間は沢山ありましてよ。」
これでも待った方ですの、と笑えば叶さんはそれは失礼しましたと軽く頭を下げた。
「もう三年と少し前になりますのね、…貴方を傷付けてしまったこと、後悔しておりますのよ。」
「…もう、気にしなくて良いのに。」
唇を引き締めて叶さんの目をまっすぐ見つめる。
三年と少し前、愚かな私は真実を確かめる事さえせずに、言われるがままに、敬愛する先輩の好いていた方の命を奪ったのだという間違った大義名分を胸に、愚かな行為を繰り返していた。
全てを理解した時には遅く、取り返しのつかない事をしてしまったと嘆いたところでもうどうしようもありませんでした。。
どうしてあの時一度でも叶さんの事を知る努力をしなかったのだと、どうして何も知らない癖にあれ程までに叶さんを憎めたのだと、悔やんでも悔やみきれません。
「私、過去の過ちは二度と繰り返さない主義ですの。」
あの頃とは違って、状況を見極めて最善を尽くす方法は心得ておりますわ。
情報を集めて、人を見て、自分がどうするべきか自分の頭で考えました。
貴方が動かれるのならば、きっとそれが最善であると、そう思うのです。
「さぁ、何でも仰ってくださいまし。」
私達に出来る事ならば、何でも致しますわ。
「くの一教室が味方だなんて心強いな。」
「ふふっ、馬鹿な忍たまなんかよりはお役に立てますわ。」
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