どうぞをお茶を差し出せば、この世の終わりのような顔をした叶さんはそれに手を付けることなく頭を垂れる。
「お話がありますの。」
「そうじゃないかと思ってました。ご迷惑をお掛けしてすみません。」
「あら、違いますの、その話ではありませんわ。頭をお上げくださいまし。」
先に謝ります、と土下座の形を取る彼の頭を上げていただき、お茶菓子に頂いた御饅頭を差し出した。
「確かに近頃の忍たま達の体たらくは大変嘆かわしい事ですわ。」
天女様と呼ばれる少女が学園に来てからというもの、忍たま達は浮ついていて騒がしい。
騒がしいだけならばまだしも、色に溺れて授業も満足に受けず、実技もボロボロであると聞けば情けなさに涙が出てくる。
あまり学園の評判を落とされると、私たちの就職にも影響がある訳ですから迷惑千万であります。
更に一部の生徒に限った話ではありますが、将来を誓い合った、云わば恋仲であった忍たまが彼女に夢中になり涙を飲む生徒も出ている事もあり、基本的に不可侵であるとは言え、そろそろ見過ごせない領域へ到達しつつある
委員会が機能していない件に関してはくの一教室には関係が無いので割愛いたしますが、ただの少女一人にこんなにも振り回されて、情けない。
「返す言葉も無い、です…」
「あら、叶さんは別ですのよ。不甲斐ない馬鹿どもと違ってぶれない姿勢が好感が持てるとくの一教室でも評判ですもの。」
特に下級生達に、と続けた言葉には苦笑いで返される。
無意識かもしれませんが、ようやくお茶に手を付けてもらえましたので、警戒は解いて頂いたと考えてもよろしいのかしら?
「さぁ、お話を致しましょう。」
私にも、貴方にも、悪い話は御座いませんわ。
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