傍観編 14







可愛い後輩たちを探しに行く少し前の事、きっかけは、唐突に襲来した。



天女様に集まる先輩も同級生達に対しても、馬鹿だなぁと思うだけで深入りするつもりはなかったし、少しばかり寂しい思いをしたものの、特に困る事は無かったものだから、天女様の出現によって起こった事柄に対して特に知る事をしなかったのだけど、少しばかり極論が過ぎる友人が、





「ねぇ、叶、あの雌豚殺そう。あんなの千害あって一利なしだよ。ねぇ、もうキュッと締めちゃおう。ね。叶が嫌なら俺が夜中にこっそりやってくるし。ねぇ、大丈夫だよ。おれ5年い組の学級委員長だよ?ちゃんと上手に出来るよ。それに、先生方はこの件に立ち入る気はなさそうだし、万が一あいつ等に見つかっても鍛錬をサボりまくってる馬鹿な奴らににおれは負けないよ?ねぇ、叶。良いよね。やっちゃおうよ。だって叶の大好きな後輩達が泣いてるんだよ。許せないよね。許したくないよねぇ?おれも泣くよ?泣いちゃうよ?叶の大好きな勘右衛門が泣いちゃうよ?ねぇ、怒らないの?怒っても良いんだよ、叶?」





などと一息に言い切るものだから、正直ゾッとした。





なにこれこわい。





部屋でまったり過ごしてたら、いきなりこの展開とか意味が分からない。
勘ちゃん目が据わってるしマジ怖い。
後、俺の大好きな勘右衛門って何?
後輩が大好きなのは認めるけど、勘ちゃん、てめーは駄目だ。
つか、自分で言っちゃうのがどうかと思う…



「その話ちょっと詳しく―と言いたいところだけど、勘ちゃんは一旦落ち着くべきだと思うんだ。お茶入れるから、一緒に飲もう。」



とりあえずそこ座ろうかと勘ちゃん定位置の座布団を指さすと、意外と大人しく腰を下ろしたものだから少し驚いた。
でもちょっと待って、俺が一人で楽しんでた秘蔵の饅頭を真顔で咀嚼するのはやめて欲しい。
それは勘ちゃんが帰ってきたら皆で美味しく食べようと買ってきたやつなんだけどなぁ。


まぁ、それも今となってはそれも叶わぬ事なんだろうけどね。


俺と兵助の部屋をろ組の連中が訪ねてくる事は暫く無かったし、兵助でさえ寝るとき以外は部屋に居ない。
そんな生活が続いてばかりで、一体どのタイミングでみんなで楽しくお茶が出来るんだろうね。


「叶、寂しい?」
「勘ちゃんが居るから、寂しくないよ。」


寂しくないのは本当だよ。
ただ少しだけ、息が詰まってしまいそうなだけだから。




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