朝から雨が降っていた。
ずーっと、ずーっと、止む事は無く、時にはしとしとと、時にはざぁざぁと、
ジメジメとした空気が広がって、皆心なしか元気が無い。
かく言う俺も、頭痛でダウン。
昔から、雨の日は駄目なんだよ、と心配する兵助に笑って、布団に潜り込む。
うぅ、湿ってて気持ち悪い・・・。
兵助は、心配そうに、俺の顔を覗き込んでいる。
大丈夫だと何度言っても此処を離れないと聞かなくて、諦めた。
「大丈夫?」
「ん。」
時々かけられる声に、大丈夫だと返事をするが、やっぱりズキズキと頭は割れるように痛む。
「辛そう。汗、浮いてる。」
俺の髪を撫でる、兵助の手が丁度良く冷たくて、気持ちよくて、目を細める。
「善法寺先輩に薬貰ってくるよ。」
と立ち上がりかけた兵助の、服の裾を摘んで引き止める。
「なに、叶。何か欲しいものでもある?」
首をかしげる兵助に、一瞬口篭もって、
「此処に居るだけで良い」
小さく呟けば、兵助は叶は甘えたで仕方ないなぁ、と笑った。
委員会の仕事をしている時に、そう言えば、雨の日の叶は体調悪いんだっけ、と思い出して、委員会の仕事を終わらせてから、叶と兵助の部屋に行ったんだ。
5年長屋はしんとしていて、引き戸を動かす音でさえ、辺りに響いた、
「おーい、叶大丈夫かー?」
声をかけて、中を覗き込むと、
叶の頭に手をかけながら、一緒に眠り込む、兵助の姿が合った。
「・・・仲良すぎるだろ。」
小さく笑って、叶にだけかかっている布団を、兵助のほうにもかけてやる。
「たまには俺も混ぜろよなー。」
もう一度、笑ってから、扉を閉めた。
雨はまだ止みそうに無い。
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