傍観編 08





まるい目をくりくりと動かす少年は、あの子と同じ組の学級委員長で、尾浜勘右衛門と言います。


入学当初から同室である久々知兵助よりも、付き合いは多少短く浅いものではありましたが、3年に上がった頃、勘右衛門の同室の者が里へ帰ったと同時に、勘右衛門はあの子達の部屋に良く顔を出し、自分の布団まで持ちこむようになり距離は格段に縮んでいきました。



勘右衛門は、あの子の事をとてもとても大事に思っていました。



一年生の頃の出来事は自分の遠いところで起こった他人事であり、後で友人から聞いただけで詳しくはありませんでした。ですが、学級委員長としてあの子の手助けを影からひっそりと行っていました。
同級生や上級生に苛められている姿を見ると、後でひっそりと仕返しを存分にしてやりました。



勘右衛門はいつでもあの子の事を思っていました。



つい先日、あの子が失踪し騒ぎになった時には勘右衛門は学園長の依頼で学園から出ていた為あの子が辛い目に会っている時に何もしてやれなかった自分を責めていました。だから、勘右衛門は、次にあの子が困る事があれば必ず一番に手を差し伸べてやるのだと、決意していました。



当然、友人たちも同じだろうと思っていた勘右衛門は、少女一人に振り回される友人達にも学園にも失望してしまいました。




「ねぇ、叶はあの女の事どう思う?」
「どう思うって、どう言う事?」




「俺、あの女もあの女に振り回される奴らも大嫌いなんだぁ。ねぇ、叶も気に入らないでしょ?だったら…




一緒に壊しちゃおうよ。」






あの子を想い、あの子を愛し、丸い目を細めにこりと笑う少年は、少し極論が過ぎる人間でした。








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