狼先輩(そう呼ぶように言われた)と別れてから、ぐるぐると廻る感情が抑えきれなくて、鉢屋に何か話しかけられていたような気がするけど、上手く受け答えが出来ないまま、まっすぐ部屋に戻った。
頭の中ではずっと、狼先輩の言葉がぐるぐると回っていた。
あぁ、お腹痛くなってきた…
「どうかしたのか?」
部屋の襖を開けた途端に目が合った久々知の顔が歪んだ。
「なんでもない。」
押し入れの襖を開けて、よじ登る。
もう今日は寝てしまおう。
久々知は何か言いたそうにしていたけど、襖をきっちり閉めてしまえば諦めてくれたようだ。
今日はもう誰とも話したくない。
狼先輩の言葉がぐるぐるぐるぐる。
『君がこの学園で沢山経験を積んで、上級生と呼ばれる学年になった時に、今度は君が下級生を守ってあげれば良いんです。沢山の事を教えてあげればいいんです。』
ねぇ、先輩。
それって凄く怖い事だと思いませんか?
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