過去編34




同学年で、同組で、同室で、親友の彼が言いました。

『凄い可愛い後輩が居るんじゃ。狼も絶対気にいるけん。 じゃから、わしに何かあったらよろしゅう頼むよ。』

まるで死亡フラグのようじゃないかと、少しばかり苛々したのを覚えています。

その言葉を受けてから、1週間で居なくなった彼を馬鹿だと罵って、彼の言っていた後輩の姿を探しました。
結果、世界を閉じて嘆き誰かの救いを求めて泣いているばかりの子供を私は気にいりませんでした。

ですから、ずっと傍観に徹していました。
彼の居なくなったこの学園に興味など無いのです。
私はただ、卒業を待つだけで良かったのですから、自分に直接かかわりの無い子供の面倒をみる義務なんて小指の爪ほどもありませんから。

しかし、どうやら状況が変わったようですね。
押し入れに籠っていた頃とは違う目の色に感嘆の声を上げ、面白そうな状況ですねと微笑んだ。

弱いだけの子供には興味は無いのです。

私が好きなのは、強く絶望を知る子供。

立ち上がったあの子の目に宿る炎に、彼があの子を気にいったという理由を見つけた。


「ふふ、面白くなってきましたね。」

クスリと笑って、あの子たちの向かった先へ向かう。


6年い組、学級委員長、狸塚 司狼。
親友の願いを聞いて差し上げましょうか。




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