過去編21






先輩が居ない事や、
自分を責める目線と声や、
反対に優しい気遣いや、

色々な事がなんだか疎ましくて、痛くて苦しくて、あたしは部屋に閉じこもった。

授業に出ろと口うるさく言う物好きは居なかったし、食事やトイレは人の居ない時間にこっそり済ませた。
何をするにも、細心の注意を払っていたので、同室の奴以外はあたしがどうしているか知らなかったし、興味も無かっただろう。


何をするでもなく、日がな一日泣いてばかり居る生活は、気の滅入る事ばかりだった。

学園の話題は全て先輩のことで持ちきりで、何処からか聞こえてくるたびに、苦しくなった。

お前のせいで死んだのだと、声が聞こえる。

あたしだけが生きていて、あの人が居なくなってしまうなんて世界は何て不平等なんだろう。

会いたい気持ちだけが募る。
今もまだ、こうやって部屋に篭っていれば、ソコの襖を先輩が勢い良く開いて、


『さぁ、叶!委員会の時間じゃ!!』


なんて、笑ってあたしをこの暗い気持ちから掬い出してくれるんじゃないかって、淡い期待。
先輩がもうこの学園に居ないだなんて信じられなくて、ぐずぐずと。

此処に来てからのあたしを構成する全てだった人。
その、先輩が居なくなったら、あたしはもう、どう生きたらいいか、分からないんです。


「やっぱり、わらえないです、せんぱい。」


全てから目を逸らしたくて、遂には押入れに引き篭もった。
薄暗い押入れの中で蹲って、あたしは、また先輩が広い世界へ連れ出してくれる事を


夢 見 る の 。









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