過去編4






「あ、叶寝ちゃった。」
「手の掛かるお子さんですねぇ、母さんや。」
「ふふ、そうだね。」


叶を抱えたままの三郎と、叶の頬をつついて笑う雷蔵。
俺も、笑う、笑いたいけど、心が苦しくなる。
俺だって叶の力になりたいのに、あの人のように、叶を支えてやりたいのに…


「・・・俺達は、いつまで、叶の秘密に気付かないふりをすれば良いんだろう。」


俺はもう辛そうな叶を見たくないんだ。
無理して笑わないでよ。
俺達が守ってあげるから、一人で泣かないで。


「・・・それは言わねぇ約束だろ?」
「分かってる、よ。」


叶の秘密を知ったのは、4人同時だった。
その時誓った。
叶が俺達に話してくれるまでは、気付かない振りをすると。


「どんな秘密があっても、叶は叶だよ。」
「うん、そうだね。」


叶、叶。
俺は君の力にはなれないの?
怖いんだ、君がいつか居なくなってしまうんじゃないかって、怖いんだ。


「ん?おーい、叶、どうかしたのか?」
「あ、はち、静かに!叶寝ちゃったから。」
「あ、悪ぃ悪ぃ。おーおー顔色悪くしやがって。俺が運ぼうか?」
「今日は三郎お父さんが運ぶんだって。」
「そうだ!今日は父さんが運ぶから兄さんは引っ込んでろ!!」
「なんだよそれ、家族設定?」
「三郎ってば父性に目覚めちゃったらしくてねー。」


笑う、笑う。
これはいつまで?
ふとした瞬間に容易く壊れてしまうんじゃないかって、怖い。
叶、叶。何処にも行かないで。

なんだか君が遠いんだ…






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -