過去編3






「今、矢羽音で三郎達呼んだから、もうすぐ来るよ。」
「なにからなにまで悪ぃ。・・・ありがと。」


あのさ、大好きなお前らにはいくら感謝を伝えても足りないんだ。
もっと、もっと、いつまでも、傍に居たいと、願うあたしは、罪深いね。


「よいせっと、ウチのひ弱な息子を迎えに来ましたよー。」
「ひ弱って言うな!!馬鹿三郎!!」


表面上は嫌そうに、それでも優しくあたしを抱えてくれる腕に、いつまでしがみ付いてられるんだろうか。


「叶、大丈夫?」
「ん、雷蔵お母さんが抱っこしてくれたら平気かもー。三郎は嫌だ!」
「もう、仕方ないなぁ。」
「嫌とか失礼なやつだな!!絶対離してやらないぞ。」
「ぎゃぁぁぁぁぁ、ちょ、近い近い近い、離せぇぇぇぇぇ!!!!!」



笑って、泣いて、手を取りあって。
あたしは、いつまで君達の傍に居る事が出来ますか?

嗚呼、駄目だ、泣いてしまいそう。



「叶、顔色悪いよ?ちゃんと部屋まで運んであげるから少し寝なよ。気持ち悪くない?」
「ん、…ごめん。ありがとう。」
「あんまり酷いようなら善法寺先輩呼んだ方が良いんじゃないか?」
「伊作先輩は嫌だ。絶対わざと苦い薬飲まされる・・・。」
「とりあえず、寝ろよ叶。ちゃんと起きるまで傍に居てやるから。」
「ん、ありがと。じゃあお言葉に甘えてちょっとだけ…」



あたし今ちゃんと笑えたかな?
頭がぐらぐらして、意識が遠のいていくの。
ねぇ、あたし、君達にちゃんとありがとうを返せてる?
一杯伝えたい事があるのに、隠し事だってしたくないのに、あたし、それを上手く伝えられないの…





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