失踪編7






「・・只今戻りましたー。」


はちの背中にぶら下がったまま、門を潜った、俺を待ち受けていたのは、


「叶せんぱい!!」
「大丈夫ですか!!」
「怪我は無いですか?」
「ご無事で何よりです。」


駆け寄る可愛い会計委員の後輩たちだった。


「ただいま、ごめんなー、心配かけて。」


はちの背中から、そっと下りて、駆け寄ってくる、団蔵、佐吉を両腕に抱えて、
俺の姿が見えているはずなのに、まるっきり逆方向に行こうとする左門を引っ張った、三木に駆け寄った。

左門と三木の頭をぐりぐりと交互になでれば、安心したように笑う、後輩たち。
や、ほんと、こいつらマジ可愛いんだけど!!!


「叶せんぱいっ、ほんと無事でよかったです・・。」


うるうると瞳を濡らす、後輩が、可愛くて仕方ない。
俺ってば、実は結構慕われてたり、するのかな。
それはそれは、物凄く嬉しいことだ。
この子達は本当にいい子だ、誰かを一番に思いやれる優しい子達。
帰ってこない委員会の先輩を心配するあまり、昨夜は寝られなかったのか、各々顔が疲れて、目が赤い。


「お前らぁぁぁ大好きだぁぁぁぁ!!!」


4人まとめて、腕の中に抱きとめる。
嬉しいんだ、本当に。
あたしが此処に居て良い証、みたいで、此処に居て良いんだって、思えるから。


「叶、学園長のところに報告に行こう。」


ふいに、兵助に腕をつかまれそのままずるずると引っ張られ、すぐに後輩と別れることになる。
感動の再開を邪魔すんじゃねぇよと、文句を言おうとしたときだった。


「あ、れ、?」


ふいに視界がぐらりと揺れる。
予想していたのか、すぐに、兵助の手が俺に伸びて、あっさりと抱きとめられる。


「貧血?」
「んー、多分そう。後、なんか薬使われたから、それ抜けきって無いんかも。」


自覚すれば、一気に、だるくなる体に全く力が入らなくて、


「うあー、ぐらぐらする・・・伊作先輩はー?」
「そろそろ帰ってくると思うよ、はち。」
「おう、まかせとけ。叶ー、お布団行こうなー。」
「子ども扱いすんなー。」


俺はまた、はちに担がれることになる。
はちの背中って、悔しいことに、居心地良いんだよな・・・


「子供っていうか、叶は手のかかる弟みたいだなぁ。」
「え、それは酷い!」


俺のほうが長く生きてるのに!!なんてことは口が裂けても言えないけども。





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