「・・只今戻りましたー。」
はちの背中にぶら下がったまま、門を潜った、俺を待ち受けていたのは、
「叶せんぱい!!」
「大丈夫ですか!!」
「怪我は無いですか?」
「ご無事で何よりです。」
駆け寄る可愛い会計委員の後輩たちだった。
「ただいま、ごめんなー、心配かけて。」
はちの背中から、そっと下りて、駆け寄ってくる、団蔵、佐吉を両腕に抱えて、
俺の姿が見えているはずなのに、まるっきり逆方向に行こうとする左門を引っ張った、三木に駆け寄った。
左門と三木の頭をぐりぐりと交互になでれば、安心したように笑う、後輩たち。
や、ほんと、こいつらマジ可愛いんだけど!!!
「叶せんぱいっ、ほんと無事でよかったです・・。」
うるうると瞳を濡らす、後輩が、可愛くて仕方ない。
俺ってば、実は結構慕われてたり、するのかな。
それはそれは、物凄く嬉しいことだ。
この子達は本当にいい子だ、誰かを一番に思いやれる優しい子達。
帰ってこない委員会の先輩を心配するあまり、昨夜は寝られなかったのか、各々顔が疲れて、目が赤い。
「お前らぁぁぁ大好きだぁぁぁぁ!!!」
4人まとめて、腕の中に抱きとめる。
嬉しいんだ、本当に。
あたしが此処に居て良い証、みたいで、此処に居て良いんだって、思えるから。
「叶、学園長のところに報告に行こう。」
ふいに、兵助に腕をつかまれそのままずるずると引っ張られ、すぐに後輩と別れることになる。
感動の再開を邪魔すんじゃねぇよと、文句を言おうとしたときだった。
「あ、れ、?」
ふいに視界がぐらりと揺れる。
予想していたのか、すぐに、兵助の手が俺に伸びて、あっさりと抱きとめられる。
「貧血?」
「んー、多分そう。後、なんか薬使われたから、それ抜けきって無いんかも。」
自覚すれば、一気に、だるくなる体に全く力が入らなくて、
「うあー、ぐらぐらする・・・伊作先輩はー?」
「そろそろ帰ってくると思うよ、はち。」
「おう、まかせとけ。叶ー、お布団行こうなー。」
「子ども扱いすんなー。」
俺はまた、はちに担がれることになる。
はちの背中って、悔しいことに、居心地良いんだよな・・・
「子供っていうか、叶は手のかかる弟みたいだなぁ。」
「え、それは酷い!」
俺のほうが長く生きてるのに!!なんてことは口が裂けても言えないけども。
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