失踪編6





血液が、足りなくて、くらくらするが、何とか立ち上がる。

「下調べを怠ったのが、あんたの敗因だよ。」


俺の調合した薬で、しびれて動けなくなっている、佐竹を見下ろし、着物を調える。
佐竹に切りつけられた傷は綺麗に塞がっていて、
傷跡すら、残らない。


「ふふっ、何故生きてるんだ、って顔をしてるね。」


動かない体で俺を見上げる佐竹を踏みつけて、笑う。


「これは、呪いだよ。この世界に来たときからあたしの体を蝕み続ける呪い。けして、死ぬことの出来ない、呪われた体。ま、打撲の跡とかは残るんだけどね。」


クスリと自嘲して、佐竹の刀を拝借する。


「慰謝料としてこれは貰ってきますね。」


刀を杖代わりにして、ふらふらと、城を後にしようとする。
が、貧血で、目のまえがグルグルとして、意識が飛びかける。
もう駄目だ、と思った瞬間、バタバタと扉の外側に走り寄る足音が聞こえた。


「殿!大変です!侵入者がっ!!」


扉を勢い良くあけ、そう叫んだドクウツギ城の部下は何者かに斬り付けられ、倒れてしまう。


「叶、無事か!!」


ドクウツギ城の部下に切りつける姿を見ながら、聞こえてきた声に、色々な感情が込み上げる。


「叶、助けに来たぞ。」


しゅた、と俺の後ろに、下りてきたはちに軽々と肩に担がれ、雷蔵の先導で、城を後にした。




ドクウツギ城は壊滅した、と言う、知らせを、聞いた頃には、もう、城からすっかりと離れた頃だった。


「うわぁ、燃えてるねぇ。あれは、立花先輩かな。」


雷蔵の声


「じゃあ、あの辺で壁がボロボロ崩れてるのは、七松先輩と潮江先輩辺りか?」


はちの声

「あの人らはやりすぎなんだよ・・・」


三郎の声


「まぁ、それだけあの人たちも、今回の事に腹を立てたんだろう」


兵助の声


全部、全部、優しい声で、暖かくて、安心する。


「っ・・、迎えに来てくれてありがと・・・。」


はちの背中にしがみ付いたまま、嗚咽を漏らせば、兵助の手が優しく頭を撫でつけた。
あぁ、くそう、甘やかしてくれるなよ。
縋りつきたく、なるじゃないか!!





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