失踪編4





「此方でお召し物をお脱ぎください。」


暗く冷たい地下牢から、引きずり出された俺は湯殿へと連れてこられ、沢山の侍女に囲まれて、顔をしかめた。
いや、年頃の子が綺麗なおねーさんの前で脱げるはずが無いでしょうが。


「一人で、大丈夫なんで、ちょっと外してもらえないですか?逃げないですし。」
「畏まりました、それでは、外に控えておりますので。」


そう言って、あっさり引いてくれるあたり、良い人だなぁ・・・

俺を捕えたのは、ドクウツギ城城主、佐竹重文らしい。
目的も理由も分かっていないが、とりあえず、今は言われたとおりにするしかない、と、制服に手をかける。
ぐしょぐしょに濡れた、制服は重く、備え付けの籠に投げ入れればベシャリと音がした。


数十分後。
しっかりと、湯船で温まり、用意されていた、真新しい襦袢を身に付けて、湯殿を出ると、次は、薄暗い部屋に通された。
ふかふかの布団の上で待つように言われた時点で、ようやく嫌な予感が頭を過ぎる。
まさかな、と思いつつ、懐の唯一残された武器を確かめる。
懐には、調合した薬がいくつか。調べてみたところ、痺れ薬と笑い薬と毒薬。どれも遅効性のものだ。
コレだけで、勝てるとは到底思えないけど、一矢報いることは出来るだろう。
とりあえず、痺れ薬を口に含む。
俺はこの程度の薬は利かないから、平気。


しばらくすれば、俺と同じく、湯上りでほこほこしている佐竹がやってきて、思ったとおり、俺を布団に縫い付けた。


「・・・ドクウツギタケ城城主に男色の気があったとはね。」


そう憎々しげに、吐き捨てれば、


「そんな事は無いさ、たまたま気になる子が男だっただけでね。」


と、耳元に返されて怯む。
産まれてこの方、19年と4年、こう言った展開には慣れてなくて焦る。


「いつもは、女を抱くさ。まぁ、男の方が良いと聞くし試してみるのもありだろう?」


胸元をスゥと撫でられ粟立つ。
やばい、女だってばれたら何をされるか、分からない。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

必死に、佐竹の下で逃れようともがくが、力で適うはずも無く、無理矢理唇を重ねあわされる。
しばらくは触れるだけだったそれも、唇を抉じ開けられると共に、濃厚なものへと変わっていき、息が続かなくなって、苦しさに目が潤む。


「おや?これはこれは・・・好都合じゃないか。」


酸欠で、頭が回らない時に、そう言われ、始めは何がなんだか分からなかったが、膝を割り、褌に手を突っ込まれる感覚に、息を飲む。


「やぁっ!!」


もがいてももがいても、離れない体に刻み付けられるのは恐怖。


「しかも、初物と来たか。ふふっ、いい拾い物をしたよ。」


佐竹は、ニタリ、と笑って、着物の帯を取り払う。


「コレも邪魔だし、取ってしまおうか。」


抵抗も空しく、さらしも取り上げられ、終には一糸纏わぬ姿にされてしまう。


「さぁて、どう可愛がってあげようか?」


佐竹の手が、胸元を滑り、流石に、危機感を感じて、隠し持っていたビンを投げつける。



「ぐっ!?」


遅効性の眠り薬だから、効果は無いが、ひるませることは出来る。
拘束が緩んだので、腕を振りほどいて、急所を蹴る。
勿論、男の。

涙目になる佐竹にざまぁみろと吐き捨てれば、逆上した佐竹に首を絞められる。


「っぁ、ぐっ!?」


ギリギリと締められ気管が悲鳴を上げる。


「もう、良い。貴様程度の女ならそこらに転がっておる。男だからこそ、興味を引かれただけだ。」


女だというのならいらぬ、そう言った佐竹は、床の間に置いてあった、刀を手に取り、ためらうことも無く、振り下ろした。
どくどくと噴出す血飛沫に、佐竹は表情を変えることなく、ただ、肢体を見下ろすだけだった。





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