水の跳ねる音が一つ、響き、
ゆっくりと覚醒を始める。
冷たい石の床に寝かされた体はズキズキと、痛み、
体の後ろで束ねられた腕が悲鳴を上げる。
はっきりとしない頭を持ち上げて、考える。
「此処は、何処だ・・・・?」
暗く冷たい石の牢屋、其処に俺は寝かされていた。
窓が無い事から、多分、何処かの城の地下牢なのだろう。
何か、薬を使われたのか、体にはまったく力が入らない。
それどころか、また頭がくらくらとしてきて、意識が飛びそうになる。
「駄目、だ。」
ギリッと唇を強く噛んで、無理矢理意識を保たせる。
唇が破れ、血が零れるが、そんな事気にしてられない。
何とか意識ははっきりとしだして、次に、縄を切ろうと袖口を漁るが、隠していた暗器は全て、持っていかれたらしい。
あまり、鍛えていないので、手首は太くないし、自力で、縄を抜けるのは無理そうだ。
「くそ、せめて窓があれば・・・。」
自分の位置を味方に伝えられるのに、と懐の中の、自分で調合した薬を見て思う。
俺の一番得意な
武器を持って行かないってことは、敵は俺の事を良く知らないみたいらしい。
それがせめてもの救いだ。
何とか縄が外れないものかと、牢屋の中を転がりながら気付く。
ひたひたと、足音が迫っているのを。
息を潜めて、まだ意識を失っているフリをしながら、様子を伺う。
「まだ寝てるのか・・・、おい、水を持ってこい。」
現れたのは、若い殿様だった。
そいつは、俺の顔に、たっぷりと水をぶちまけ、
「っ、ごほっげほっ!!」
むせている俺の姿を見て、心底楽しそうに、ニタリと笑った。
ど変態め…
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