時巡り | ナノ



どうしてあの時、六花から聞かされた話を素直に受け入れることが出来たのか

正直、今でも良く分からない

それでも…初めて出会ったあの時に思ったんだ

この子となら絶対に仲良くなれるって。

びっくりするほど優しくて、笑っちゃうほほど不器用な彼女を見て

なんでだろうね。とても…懐かしく思えて仕方がなかったんだよ








朋友なのだという彼と共に走り続けて辿り着いたのは、中庭を突っ切った先にある校舎の近くで
その、一角。まるで閉じ込めるかのようにその腕に六花を抱きしめたまま動かないのは、きっと捲簾っていう人
いつかの六花が唯一愛した大切な存在
置いてきてしまった命があるんだって…いつもいつも、泣いていた理由
そして…いま
私の少し前で歩みを止めたのは何故か白衣に身を包む人。なんで大学に白衣なんだってツッコミたかったけど、仕方ないから今は言わないでおいてあげる
だって…あの二人を見つめるその横顔が、その瞳が
泣きそうなほど優しい色を宿していたから

私も倣って、立ち止まった

二人のすぐ傍に植えられている一本の大きな桜の樹

ああほら…あんたの大好きな桜が綺麗に咲いているよ

いつもいつも、泣きながら見上げていた花だけどさ

もうきっとこれから先は泣かなくても済むと思うんだ

あんたをこんなにも想ってくれる存在が…私以外にも居てくれたんだから

ずっと待ち続ける六花の存在を、諦めることなく探し出して見つけてくれたから

…ま、今までずっと傍に居続けた私から言わせれば遅すぎる!って文句の一つでも言いたくなるけど

「…」

優しく揺れる桜の樹をそっと見上げる

遠い昔に生きて居た世界にも咲いていたというこの花は

ずっとずっと…見守り続けてくれていたんだろうなって

「…なんとかやっと、巡り会えたみたいだよ」
「え…?」
「なんでもなーい。独り言!それよりもアレ、どうすんの?」
「ああ…そうですねぇ。どうしましょうか」
「顔がぜんぜん困っているよーに見えないんだけど?」
「嬉しいんですよ。とっても」
「…そっか」
「貴女のような存在が六花の傍に居てくれたことも、ね」
「わたし?」
「僕らが傍に居られなかったこの数十年間…ずっと傍に居てくれたんでしょう」
「…そんなことまで話したっけ」
「見てれば分かりますよ。物凄い剣幕でしたからね、さっき」
「うあ。それはごめんってば」
「責めてる訳じゃないですよ?あんなにも必死になってくれたことが、嬉しかったんです」
「だって…また執拗に迫るウザったい類の男かと思ったんだもん」

なんですって?と、一瞬でこっちを見下ろすその瞳が分かりやすいほど不満の色を全開に滲ませているから。ああコレは絶対過保護なタイプだと笑ってしまった
もしかしたらあの男の人はもっとすごいかもしれない
六花、頑張れ。折角だから伝えておくね。あんたのその人気っぷりも

「どういうことですか、それ」
「本人はまるで自覚なしだけど、綺麗な顔立ちしてるじゃない?」
「ええ。六花は昔から綺麗ですからね」
「そのせいで、周りの男連中から毎回毎回しつこく迫られるんだよね。ストーカー被害に遭うくらいには私も手を焼いてきた」
「…」
「ハイその射殺しそうな目は閉じようか」
「…何事もなかったんですよね?」
「疑問形なハズなのに有無を言わせない迫力だよこの人」
「当然です。もしもなんてあったら準備しなくちゃいけませんから」
「……あんまし聞きたくないけど、なんの、準備」
「生まれてきたことを後悔させるためのですよ」

そんなこと決まってるじゃないですかぁ、なんて
後ずさりたくなる程に眩しい笑顔全開で言い切るこの人に顔が引きつる
ダメだ。冗談なんかじゃないぞコレ。
あははははなんて楽し気に笑ってるけど内容はちっとも笑えやしない
ちょっと六花。あんたとんでもない友人作ってたじゃないか
その辺の犯罪者よりも清々しいよ、この人

「あ。なんですかー、その呆れかえったような顔は」
「見た通りそのまんまなんだけどな」
「大丈夫ですよ?その時はバレないようにやりますから」
「言葉の使い方間違ってる!っていうかそんな心配したくないっ」
「えぇー」
「えぇー、じゃなあい!…っとにもう。あなたがそこまで過保護だって事は、あっちの人はもっと凄そうだよ」
「凄いなんてものじゃないですよ」
「……、あ、うん、そ。」

なにを言っているんだとでもような表情で至極当然のことのようにシレッと言い切る。
…もう何も言うまい。私は六花が笑っててくれさえすればそれでいいんだ。
こんな腹黒全開な人のことなんて知らない。私はなにも聞いてないよ。
軽い現実逃避に走る脳のまま瞳を眇めてあらぬ方を眺めていれば、視界の隅で黒い塊が微かに動いた気がした
終わったんだろうか。とりあえずは。
埋まったのかな…二人を隔てていた時間は

黒いカッターシャツに黒のズボンなんて履いてるけど、身長も高くて足も長けりゃそりゃあ似合うよね。
隣に並ぶこの人だって若干猫背だけど身長は彼と同じく規格外。
私は六花よりも更に小さいから並ぶと30センチはあるような気がする
…いや、絶対ある。
もう隣に並ぶの止めようかな

長い白衣の下に臙脂色のワイシャツ。黒いネクタイを緩く占めているこの人も、その長めの髪が気にならな程にイケメンだ。
なんだこれ。美女美男ってどういうことだ。

「どうりで騒がれるハズだよ」
「はい?」
「こんなイケメン、その辺の女性人がほっとくハズないもんねぇ」
「捲簾は六花のことしか頭にありませんよ」
「いや、あなたもだからね」
「…僕ですか?」
「そこでえっらいビックリした顔をしないで欲しい。無自覚かこのイケメンっ」
「いやぁ…あまり興味ありませんでしたからねぇ、僕も」
「あ、っそ」
「そいう貴女だって、十分綺麗じゃないですか」
「は?」
「ほらね。無自覚なのはお互い様ですよ」
「…、」

にっこりと柔らかな笑顔つきで、なんとまぁ
平然と言われた言葉に苦笑した
確かにそれほど見るに堪えない容姿をしているつもりはないけれど…それにしたって、六花も含めたあなた達と比べるのも可笑しいでしょうよ
それはドーモと肩を竦めれば笑われる
なんだなんだ。良く分からない人だなぁこれは

「ああそうだ。釘をさしておかなきゃいけないのは捲簾の方ですね」
「六花に付き纏う哀れな男の末路を、少しでもマシなものにする為にもね」
「…」
「なに?」
「…僕、自分で言うのもアレなんですけど」
「どうぞ」
「話に脈絡というものが無いんですよね。」
「ああ、うん。その時その時で自分が思ったことポンポン言っちゃうタイプだよね」
「…六花から聞いてました?」
「そんなわけないでしょ。誰が好き好んで友達泣かせんのよ」
「…」
「あなた達のことを思い出すだけでもいっつも泣いてたんだから」
「…そうですか」
「それに、似てるから」
「はい?」
「六花とあなた。多分…そっちの彼も」
「…僕らが六花とですか」
「似ているよ。…優しいところも、不器用なところも…きっとね。だから会話の仕方も似てるんだと思う」
「……なるほど」
「ずっと傍に居続けた証拠だね」

仲良しで羨ましいと笑えば、優しくその瞳が細められた気がした
…男の人でもこんな風に笑えたりするんだ。
例えるならば、そう
暗闇の中を優しく照らす温かな蝋燭のように
ぽわって笑う…そんな感じ
じんわりと胸の中へ広がるそれにつられて私も笑ってしまえば、なんだか心まであたたかくなった


「それで?いつになったら僕にも六花を貸してくれるんですか」
「…六花は物じゃねーぞ」
「知ってますよそれくらい。我慢してあげたんですから、早く僕にもください」
『…天蓬…』
「…ああ…やっと、貴女の声が聞けましたね。六花」
『…っ』
「泣かないでください…謝らなくちゃならないのは僕らなんですから」

仕方ねぇなって。
しぶしぶといった顔で苦笑したその人が、抱きしめていた六花からそっと腕を離す。ポロポロと泣き出す六花がその名を紡げばすみませんでしたって困ったように笑う彼

『天蓬』
「はい」
『…バン、ザイ…ッ』
「………ああ、そうですね。はい、どうぞ?」
『…っ』

広げられた温かいその場所に六花が勢いよく飛び込んだ

ああ…きっとそれは

あんたが最期に彼と交わした言葉の一部だったんだねって

見たことがないくらいに泣き続ける六花と、そんな六花を抱きしめる彼の表情を見て…

なんとなくだけどそう思った

「めでたしめでたし」
「つか…さっきから思ってたんだが、アンタは誰よ」
「どこぞの誰かさん達がなっかなか迎えに来ないから、六花の傍に居続けた親友ですよ。捲簾さん?」
「!…お前…」
「六花から聞かされたんだよ、あなた達のこと。遠い遠い昔の出来事も、あの子が抱く想いも後悔も…痛みもね」
「…よく疑いもせず信じられたな」
「ね。自分でも不思議。でも、あの壊滅的不器用な六花にあんな回りくどい細かな嘘がつけるとも思ってないしね」
「ははッ…違いねーや」
「でしょ?」

子供のように笑う人だと思った
包み込むかのように眩しい笑顔はずっと六花に向けられていて
見る者を照らし出すような…そんな無邪気さを兼ね備えた人
彼とはまた違った光で六花を愛してくれていたんだね
けれど次に六花を泣かせたりなんかしたら、絶対に飛び蹴りの一つや二つくれてやるんだから。覚悟しなさいよ

大切で大切な幼馴染を、仕方がないから譲ってあげる

ちゃんと守ってあげてよね。
今度こそ…それこそ最期まで、ずっと。

「って言うか、彼にも言ったけど迎えにくるの遅すぎ!」
「あー…悪ィ」
「六花がどんだけ泣きながら待ってたことか!」
「やっぱ泣いてたか…」
「当たり前でしょ。私は六花から話を聞いただけだから、深い悲しみまでは理解してあげられないけど…」
「…」
「それでも…あんな事があったんだから。泣くなって言う方が無理な話だ」
「…そうだよなぁ」
「因みにその指先で弄んでる眼鏡だけど。特注品なんだから絶対に壊さないでよね」
「へえ。そうなのか?」
「視力自体はそれほど悪いわけじゃないんだけど、一応眼病持ちだからね」
「眼病?」
「眼鏡をしてないと右眼の焦点が合わなくなるんだよ。病名なんだっけな…まぁとにかく、今以上にその焦点のズレが進んだら手術になるかもって、小学生の頃言われたって聞いた」
「…」
「だから長時間外したままだと頭痛くなったりするから、気を付けてあげてね…って、人の話聞いてんの!」

確か遺伝だって言っていた気がするなって
初めて眼鏡をかけ始めた頃の記憶を遡っていればジィッと持っていた眼鏡を見つめていたその人は足早に六花の傍まで歩み寄る
昔の六花は眼鏡をかけてなかったのかな
まぁ半分は神様だってっていうし、視力とかそんなん関係ないか

「六花」
『…ん』
「六花、コッチ向けって」
『まだ天蓬にくっついてたいよ』
「……仕方ねぇからそれは許してやるけど、眼鏡はかけとけって話」
『先に外したのは捲簾だよね』
「まぁな」
「今世では僕とお揃いなんですね。視力悪いんですか?」
『ううん。斜位だって言われた』
「ああ…なるほど」
「あ、そーだソレだ!」
「でも見た感じじゃ分からねえよな」
『裸眼で写真とか撮ると分かるよ。右眼がズレてるの』
「…昔と関係があるんでしょうか」
『それは分からないけど…まぁ、別に。今のところ失明する心配もなから』
「「…」」
『二人してそんなカオしないでよ』
「過保護さは一級品だよね」
『そういえば、いつからいたの』
「あんたがそこの人に捕まってる辺りから」
『…』
「ぷっ。今さら恥ずかしがっても遅いっての」
『ぜんぜん気づかなかった』
「気配には聡い方なのにねー?」

ほんとだよねって小さく笑った六花に二人が瞠目する
大丈夫だよ。ちゃんと、笑えているから。
ずっと一緒に…少しずつだけど笑って生きてきたんだから
これからはその役目を引き継いでもらうけど

彼から身を離した六花が、まっすぐに見つめて来るから

私も同じように見つめ返す


「やっと逢えたんだね」
『うん』
「もう…泣かないで済むじゃん」
『そうみたい。神様に感謝すべきなのかな、これ』
「あははっ、信じてないくせに良く言うよ」
『一回くらいなら信じてもいいかなって思えた』
「じゃあ今度神社にお礼参りでもしにいく?」
『考えとく』
「なんだそれっ」

自然と伸ばした互いの両手を、ぎゅって握り合って
久しぶりに見る六花の穏やかな笑い顔は…
咲き誇る桜の樹を背景にして、すごく…すっごく、綺麗だった
私たちの周りを、たくさんの花びらが舞い踊る

良かったねって笑って言えば、ありがとうって笑い返された

「仲良いなんだな、お前ら」
「いやですねぇ…女性にまで嫉妬ですか?」
「べっつにそんなんじゃねーよっ。ただ、お前に関しては包み隠さず出すつもりだけどな」
「ええー、めんどくさいじゃないですか、それ」
「あの頃よりもガキなんでね。そりゃあもう最大に主張していこうかと」
「気を付けてください、六花。この人前よりも更に面倒そうですから」
『でもそれ…私も似たようなものだと思うんだよね』
「いいんじゃない?似たもの夫婦ってことで」
「おっ。良く分かってんじゃねえか、物わかりのいい女だなアンタ」
「なんか色々と悟っただけですよーだ」
『捲簾、捲簾』
「ん?どうした、六花」
『この子ね…ユキっていうの』
「……ユキ…?」
『うん。ユキ…神代、雪』
「…そっか」

紹介してくれた六花の瞳も、驚いたように目を見開いて見下ろしていた捲簾も
なんでかな。二人ともすっごく優しい目をしていたんだ
じゃあ仲良くて当然だなって笑うから首を傾げる
なにがどうして納得したのか分からないけど、まぁ
目の前で嬉しそうに笑う六花に「笑ってくれんならそれでいっか」って思った

「そういえば名乗ってなかったもんね、私だけ」
「僕も貴女の名前、そういえば知りませんでしたね。というか僕ら互いにちゃんとした自己紹介してませんよ」
「確かに。一方的に私が知ってるだけだったよね」
「ええ。物凄い剣幕で詰め寄られました」
「だからごめんてば!私の勘違いっ!」
「あはは、冗談ですよ」
「からかって遊んでない!?」
「気のせいじゃないですか?」
「ちょっと六花!この手のタイプぜったい面倒だ!」
『そうでもないよ。私と似てるから』
「ああうん。それは思った」
『でしょ?』
「あんまし嬉しくねえけどな」
「出た出た剥き出しの独占欲」
「安心しろ、ユキには向けたりしねえから」
「向けられたらびっくりだわ!…って言うか、名前呼んでくれるんだ」
「ん?」
「いや、なんとなく。ちょっと意外だっただけ」
「六花の傍にずっと居続けてくれたからな。俺らにとっても特別なんだよ」
「…そーなんだ?」
「おーよ」
『そう。特別なの、ユキは特別』
「なあんかくすぐったいなぁ」
『そこはもう諦めて』
「ふふ。はいはい」

特別だって笑ってくれる
傍にいてくれてありがとうって伝えてくれる
握りしめた手。笑い合えば、捲簾と天蓬も笑ってた
良かったね、もう泣かないでね
ずっと笑ってて欲しいよ、大切なあなただから
今まではずっと私と一緒にいたけれど
これから先は…大切な人と過ごしてね
…でもやっぱり寂しいから、たまには私とも遊んで欲しいなぁ

「相変わらず馴染むの速いですねぇ」
『人見知りとは縁がないような性格だからね、二人とも』
「それは言えてます。それでは、ユキ」
「ほいよ」
「今までずっと、六花を見守ってくれてありがとうございます。これからも是非、僕ら共々宜しくお願いしますね」
「いえいえこちらこそ。不束者ですが、宜しくお願い致します」
「なんか婚前前の挨拶みてえだな」
「ちょっと。変なこと言わないの、天蓬が困るからねそういうの」
「そうですか?僕は全然構いませんよ」
「…びっくりするほど綺麗な笑顔はやめようね」
『これからは4人で一緒に居られるかな』
「あれま。私も一緒に居ていいの?」
『なんでそう思うの』
「だってほら…せっかく同じ記憶を持った人同士出会えたんだから、積もる話もあるでしょうし」
『ユキが居なくなったら泣ける自信しかないよ、私』
「…なんか六花…涙脆くなった?」
『うん。だから抜けちゃダメだよ』
「六花が泣くのはいただけねぇな」
「同感ですねぇ。恩人ですし、これからも変わらないでいて欲しいものです」

宜しくお願いします、なんて
深々と頭を下げる六花に笑えばなんだが凄く嬉しくなる
変わらないでいてくれる六花も、受け入れてくれた2人の存在も
ありがとう、ありがとうって
変わらないで在り続けた、六花たちの絆
その中に私が居れるってこと…すっごく、奇跡

『さあ…これからどうしようか』
「結局時間割り考えてないよね、私達」
「時間割?」
「ほら、入学式の時言ってたじゃん?この後は各自学部に分かれて1年間の単位を決めるんだって」
「ああ…なるほど。」
「そりゃ知らねえワケだわな」
「……まさかとは思うけど、出てないの?」
「この歳になって入学式なんかやってられるかっての」
『まあ…大人しく出席するとは思ってなかったけど』
「逆に六花がちゃんと出席してた方が驚きです」
『ん。ユキのモーニングコール』
「あー…見るからに真面目そうだもんな、ユキ」
「あんたらやっぱり似た者同士だわ…」
「あはははは。ユキは苦労しますねぇ、これからきっと」
「誰のせいだ!誰のっ!」

楽しげに笑い合う3人
仕方ないなぁって思っちゃうあたり私も早々に染められているな、なんて
結局私も笑ってしまえば、柔らかくて優しくて
あたたかな光が混じってる


ああ…なるほど


六花が焦がれた世界っていうのは、この事だったんだね



「そーいや、六花は学部なににしたんだ?」
『天文学部』
「まーじか。俺も同じだわ」
『やった。それなら一緒に居られるね』
「おう。安心しろー、ウザってえくらいには傍にいてやっから」
『じゃあ私もそうしようかな』
「惚気なら他所でやって欲しいものですねぇ」
「あはは。無理じゃないかなあ、この人たち」
「ユキは何を選んだんですか?」
「学部のことね。私は倫理学にしたの」
「おや。それなら僕と同じですね」
「うお、マジでか」
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくどうぞ」
『ユキは天蓬と一緒なんだ』
「うん、どーやらそうみたい」
「キレイに分かれたな」
「そうですねぇ。でも、なんだかそれはそれで楽しそうな気もします」
「メシは一緒に食えんだろうしな」
『楽しみだね、4人で過ごすの』
「そう思うんならちゃんと寝坊しないで起きてよね」
「低血圧ですからね、六花」




また笑いあって、並んで歩く

桜の花びらが舞い散る中で、新しく綴る物語の為に―――…













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