時巡り | ナノ



1度くらいは、本当に。

感謝の一つでもしないといつか祟られそうだなって

真剣な顔で言ったその言葉に、真剣な表情で盛大に頷くから。

何だか可笑しくて、つい笑ってしまったんだっけ










「うわー、これまたすんごい人集りですねぇ」
「なんたって年の瀬だからな。こぞって集まんだろ、ここぞとばかりに」
「神様なんているもんか、とか思ってた僕らにここに居る権利ありますかね?」
「さァな。俺らが罰当たりなのは今に始まったことじゃねえだろ」
「ちょっとそこのお二人さん。周りの目が好奇1色になるよーな発言しないでよね」
「あ、お帰りなさいユキ。混んでました?」
「ただいま天蓬。どこ行っても女性用は大行列だったよ」
「六花はどーしたよ」
『六花は違う方に行ったの。多分そろそろ戻って来るとは思うけど…』
「…」
「心配だからってついてったりしないでよね」
「その発言はデリカシーねえとか思われた故にか」
「過保護さ大爆発故にだと思う。」
「なるほど。」
『あ、いた』
「六花ー!随分かかったね。やっぱり並んでた?」
『すごかった。』
「うん、顔みたら分かる。ここまで人が多いとねー」
「どーやら、迷子にならずに済んだみてぇだな」
『ん。一番大きな御神木の下って目印だったから、大丈夫』
「気を付けないとそのうち本当に発信機つけられちゃいますよ、六花」
『捲簾や天蓬にだったら別にいいよ』
「いやいや、そこは拒否っとこうね六花」
『そう?』
「じゃなきゃ割と本気で考えるからねこの人!!」
「おーい。人を指さすなって習わなかったかー、そこのお嬢さん」
「指されるよーな犯罪くさい想像してるからだって自覚してくださーい、そこのおにーさん」
「こんにゃろ」

集まったのはこの近辺で有名な大きな御山。
大晦日や初詣で賑わうこのお寺は、いつになく沢山の人で溢れていた。
時が進むのは本当に速かった。とかく、彼らと出逢ってからは。
鮮やかに彩られた日常に感謝すべきなのは…
きっと私たちからしたら神ではない

「どうします?」
『なにが』
「行った瞬間仁王立ちしてたら。」
「そーなったら全力で土下座するしかねぇな」
「何の話?仏様に土下座するよーな犯罪でもしたの?」
「お前はそろそろ犯罪から頭離せ」
『観音菩薩を奉ってるでしょ、このお寺』
「あ!まえにお世話になったっていう仏様か」
『そう。もうあの姿を見る事も声を聞く事も出来ないけど、万が一仁王立ちでもしてたら割と本気で土下座だね』
「絶対ぇ礼を言うのが遅ぇって言われんだろうな」
「枕元に立たれそうで怖いですよねぇホント」
「もしかしたら初夢に出てくるかもよ」
「新年早々説教から始まんのか…」
『お神酒でも奉納しとく?』
「あははっ、それもいいかもしれません」

人混みを掻き分けて進んだ本堂で。
確か観音菩薩は慈愛と慈悲を本誓としてるんだとか
…そんなふうに見えた事は残念ながら一度もなかったけど。
ああでも…抗った私たちを看とどけてくれた
最期は…想像もできない程の優しい声で、送ってくれた

あれが慈悲と慈愛だとすれば、存外。

本質はちゃんと捉えていたのかもしれない、なんて。

『…』

見えてきたその姿に、ふとそんな事を思ったんだ

座したその立像は様々な種類があるという。
それでも一様に優しげな眼差しを向けているところをみると、観音菩薩が女仏と伝えられるのも頷ける。あの人の性別は最後まで不明のままだったけど。

「仁王立ちしてませんねぇ」
「してたところで、もう見えねえだろ」
「あはは。それもそうなんですけど」
「どんな性格してたの?」
『天上天下唯我独尊。』
「…すごかったんだね、色々」
『うん。すごかった。』
「いろんな意味でブッ飛んでたよな」
「けどそれなりにお世話にもなりました」
「言えてる。」
『まずはお礼しなきゃだよね』
「私も言っとこ。縁を結んでくれてありがとうございますって」
『ん。』

両手を合わせて、4人で合掌。
抱く想いは本当にたくさんありすぎて、言葉で全てを表わす事なんて出来ないけれど。
それでも感謝したいんだ。
最期の最期まで見守り続けてくれた

始めて私を救ってくれた人
傲慢で我儘で自由奔放だったけれど、向けられる眼差しの内には確かなあたたかさが在ったから。
ああ本当に
もしも、もう一度その姿をこの目に映す事が出来たなら


『…』


その時は。そう―――…その時は


「ん?どーしたよ、六花」
『…なんでもないよ』


彼と、そして彼らと

この世界で再び巡りあえた奇跡を心の底から感謝するのに、と

視線の先。不思議そうな顔で見下ろしてくる彼に首を振る

何処に居るのかも分からない私の存在を、

彼は諦めることなく探し出してくれた

たった一つだけ…最期に交わした約束を守る為に


『ありがとうって』
「ん?」
『伝える事が出来たらな』
「…」
『あの人が救い出してくれなければ、きっと私はみんなに出逢う事は出来なかったから』
「…そうだな」
『私が生きていけたのは、捲簾たちのおかげ。でも、私に"始まり"をくれたのは観音』
「正直ソコは今でも悔しい」
『…、どうしたの急に』
「俺は心が狭いんだよ。六花の事に関しては尚更な」
『ん…?』
「もっと早くに救い出してやりたかった」
『…』
「それも出来れば俺が一番始めに、な」

捲り始める、魂のページ。

文字通り気が遠くなる程の大昔の出来事だ…
それでも今もなおこの身に刻んでいられるのは、なんでかな。

私が私以外を認識した時、そこには逆光の中で佇む観音の姿が在った
伸びてきた細い腕が乱雑に私を"ソコ"から引きずり出したんだ

「あ。六花が泣きそうな顔してる。ちょっと捲簾!最後の最後で六花になにしたの!?」
「別になんもしてねえっつうの!つか、お前は相変わらず目敏いな」
「当たり前でしょ!仕方なく六花は捲簾に託したけど、全部とは言ってないもんっ」
「あはははは。ユキの愛情は無限大ですからね、気を付けた方が良いですよ捲簾」
「へーへー。六花が愛されてなによりですよ」
『…』
「六花?僕の顔になにかついてます?」
『ん。金蝉の次は天蓬だったなって』
「はい?」
「六花ハンカチいる?」
『大丈夫。向き合ってるだけ、だから』
「そっか。大事な想い出だもんね」
『いつも思うけど、ほんとユキってエスパー』
「あははっ、六花限定だけどね!」

そして次郎神と出逢って、文字を知って
そのすぐあと…あの無口で無愛想で不器用な優しい太陽と出逢えた。
私と真逆の色を宿したあの人は…後にあの幼子から太陽みたいだと言われていたんだよ
そして、次に。
きょとんとレンズ越しに丸くなるのは今は同じ漆の瞳。
ずっと傍に居てくれた人、あたたかさを教えてくれた、人

『…敬礼』
「お、いいなそれ」
「僕ららしさが出せますねぇ」
「え?なに?敬礼?」
「ユキも一緒にどうですか、恩ある観音菩薩に敬意を込めて一つ」
「ああ、なるほど!それで敬礼ね。よぉーしたっくさんの気持ちを込めてやりますか!」
「ノリいいよなぁユキって」
『魅力の一つだよね』
「俺は六花が一番」
『…、』
「ハイハイ惚気なら家でやんなさい家で!ほら六花、なんか一言」
『私が言うの』
「言い出しっぺがそんなビックリした顔しないでよ。こっちがビックリだわ」
『号令っていつも捲簾や天蓬の仕事だった』
「ここは一つ、元隊長サマからの貴重な号令をとな」
「実際、なかなか聞く機会ありませんでしたからねぇ」
「好奇な視線を浴びるのは必須だろうけどねー」
「おや。今さらですよ、ユキ」
「はいはい私も流石に慣れましたよ、っと」

次に出逢えたのは、今でも全身全霊で愛してると言い切れる…大切な人。

なにも知らずに受け入れるだけだった私を、愛してくれた人。

ねえ捲簾。

私たちが出逢えたのって、今考えたらとても凄い事だったんだね

沢山の縁を経て結ばれた私たちの糸

繋がり、解けて、離れてしまっても

決して朽ち果てる事だけはなかったんだから


『…須らく看よ、なんてね』


右手を持ち上げて、背筋を伸ばした。

そういえば、当時もあの人に向けた事はなかったんだっけ

竜王には最期に伝える事が出来たけれど。


『多くは語らないよ…ただ一言だけ。―――…ありがとう、観音』


全員、敬礼。


小さくもはっきりとした声音で放った音が、3人を動かした。

右手を額に当て、左手は背中に回す。

軍にいた頃のクセって…肉体が変わっても染みついているものなのね

視界の隅でユキも同じように姿勢を正すのを見て、不思議な気持ち

きっとあの頃に生きた貴女が人の姿を持っていたとしたら

今と同じように共に過ごしていたんだろうなって


「…うっし。これで祟られる心配もねえだろ」
「だといいんですけどねぇ?」
「…笑いながら怖えコト言うなっつうの」
「この後どーすんの?」
『目的果たしちゃったからね。どうしよっか』
「そうですねぇ…せっかくの年の瀬ですし、年越し蕎麦でも食べて帰りますか」
「あ、細く長く生きれるようにってやつ!」
「ええ。まえの僕らはうどんでしたから」
「その例え方はどーよ」
『強ち間違いではない気もする。』
「でしょう?」
「あっ、この近くに割と有名な蕎麦屋があるって!」
『…ユキって仕事早いよね』
「だってお腹空かない?」
『まあ、それなりに』

楽しそうに画面を見つめる横顔に小さく苦笑すれば、彼もまた似たような表情で見下ろすから顔を見あわせて笑うんだ
天蓬は一緒になって画面を覗き込んでいる
楽しそうだよね、この2人は。

吐き出した、白い息。
昇る先はいつだって同じ場所なんだと
信じて疑わなかったあの頃
今も変わらず思い続けていたら…

いつか迎える最期の日。
あの頃とは違うカタチで溶けていけるだろうか

「やけにここだけ澄んでるよな」
『ん』
「観音のバァさんのおかげが?」
『あの人もなかなかにヘビースモーカーだったけど』
「んじゃ、お付きのオッサンが頑張ってんのかね」
『ふふ…いつになっても次郎神は大変そうだ』

見上げた先は、漆黒の空。
瞬く小さな星たちの中には…あの頃を生き抜いた私たちも眠っているのかな
遥か昔の輝きなのだと言われるように

レンズ越しに見えるソコはあの日、私たちが目指していたもの

『…』

振り返る事は決してしなかったんだ。
後悔はしないようにって、決めたから。


でもね。いま、は。


『…振り返る事が出来るのが、嬉しいよ』
「六花?」
『生きてきた軌跡を感じられる事が…奇跡。』
「……そうだな」
『振り返れるって凄いね』
「そこには確かな証があるからだろ。俺にも、六花にも…あいつらにもな」
『ん。』
「それに、これから何度でも振り返れるしな。それこそ嫌ってほど」
『それは…とんでもなく贅沢だ』
「ははッ、お前にかかればどれも贅沢になっちまうだろ」
『今がとても幸せだからだよ』
「ああ…俺もだよ」

暗い、冥い空を見上げて。
いつかのソレと同じものなのに、なんでかな。
怖いとはもう…思わなかった
傍にあるぬくもりや、温かな声が
いつだって私の周りに存在してくれているから

…やっぱり贅沢、だよね。

吐き出した白い息。
目元で微笑えばユキの澄んだ声が響き渡る

「あったあった!ここから車で20分くらいの所にあるんだって!」
「では早速そこに行きましょうか」
「どーせ運転すんの俺だろ」
「だって僕、さっき甘酒飲んじゃいました」
「コンニャロウ」
『年の瀬で飲酒運転とか笑えないね』
「ほんとにね。あっという間に刑務所行きだよ」
『仲間内から犯罪者出るのは避けたいところ』
「うんうん。だからね、捲簾よろしく!」
「ヘイヘイ。どうせ拒否権ねえのなんか今さらだしな」
『捲簾の運転はいつも安全運転だから、私も安心』
「トーゼン。六花が乗ってる時に危ねえコトしねえし?」
「ちょっと待って。じゃあ六花が乗ってない時はどうなるのよ」
「そりゃあ乗った時のお楽しみ、ってな」
「…、」
「あはは。この人も昔は随分荒い運転してましたからねぇ」
『そうなんだ…意外』
「近辺の走り屋と張り合ってましたから。あ、ユキもちゃんと保険は入っておいた方がいいですよ」
「そんなデンジャラスなもの乗りたくありませんっ」
「良く言うぜ。お前だって似たようなモンだっただろーが」
「ええー?」
『!…あ、鐘の音』

ざわめく空気に、一つの鐘が鳴り響く。
ピタリと止んだ小さな口論に口元を緩めれば、周囲の視線が一か所へと徐々に集まりだしていた
私たちもそれに倣うように各自視線を飛ばす。そこには一人のお坊さんが二つ目の鐘を打ち鳴らすところで
一年の締めくくりで有名な除夜の鐘
この国では全国に点在するお寺が必ず108回の鐘を響かせるのだ

「今年はやけに鐘の音が心に染みますね。過ごしたこの一年が充実していたからでしょうか」
「奇遇だな。俺もいま同じコト考えてたわ」
「確かに…なんだか感慨深いよね。今まで聞いてきた音よりも、ずっと」
『うん…そうだね』
「でも何で除夜の鐘って言うの?」
『除夜っていうのは大晦日の事を言うの。仏教では人間には108つの煩悩が在るとされているから、それを祓う為に鐘を打つんだよ』
「煩悩…人間って欲ばかりだもんなぁ」
『ん。私たちも108つで済むかな』
「あー、どうだろ。ちょっと自信ないかも」
『同感。』
「「…」」
「………あのさ、上背ある人の無言の見下ろしってなかなかに恐怖だからね!?」
「いやあ…」
「お前ら、ソレ本気で言ってんのかと思ってな」
『至極大真面目。』
「お前らが煩悩の塊だってんなら、コイツはどーなる。最早妖怪じゃねえか」
「ちょっと。そこで僕を引き合いに出さないで下さいよ」
「あははっ、そんなのそれこそ同じじゃない?多分私たち、普通の人よりもずっと欲深いよ」
「そーかァ?お前らのは欲っつうより、願いに近いだろ」
『それだって元を辿れば欲でしかないから』
「貴女たちのソレは、僕らからすれば欲のうちにも入りませんよ」
「甘いんだよねぇ天蓬は…どこまで私たちを甘やかせば気がすむの」
「そんな小さな欲なら24時間365日受け付けてやるよ」
『…甘やかしすぎて大変な目に遭うの、捲簾だと思う』
「おう。遠慮なく来い」

楽しそうに、嬉しそうに笑う彼ら二人と
小さくも苦笑を浮かべて顔を見合わせた私たち
幸せに満ち足りたこの身には過ぎた欲だと思っていても、彼らからすればなんてことない小さな願いなのだと笑うから
際限なく注がれるその愛情も、限りなく受け入れてくれるその心も
切なくなる程に愛おしく思ってしまうこと

彼らは絶対、気づいていなんだろうなって

緩慢な動きで流れ始める人混みに紛れ乍ら、ふとそんな事を思ってはまた空を見上げる


さあ、まずはこの満ち足りた年を無事に終える事が出来たことに、感謝を


「今年はほんっとにもう色々とお世話になりました」
「ええこちらこそ。お蔭様で随分と楽しめましたよ」
「来年は今年以上に愛してやっから、覚悟しとけな」
『じゃあ私もそれ以上にたくさんの想いを伝えるね』
「六花−っ、今年も一緒に居てくれてありがとう!これから先も末永くよろしく!」
『うん。ユキが傍に居てくれて嬉しいよ。一生離さないから覚悟しておいて』
「何だかんだと貴方との縁も永いですねぇ。死ぬまで続きそうですよ?」
「腐れ縁もイイトコだからな。墓まで同じとかいっそ笑うしかねえぞ」
「捲簾に物申す!来年はもう少し私に六花ちょうだい!それと、六花を迎えに来てくれてありがとう。でも全部はあげない!来年もよろしくっ」
「六花は俺のだからソコは諦めろ。あと、俺が出逢うまで傍で守ってくれてサンキューな。お礼に少しなら残しといてやる。来年もよろしく頼むぜ」
「ユキと出逢わせてくれて本当にありがとうございます。六花がくれた縁、最期まで守り通しますから安心してくださいね。来年もよろしくお願いします」
『こちらこそ。ユキを選んでくれてありがとう。天蓬だから心配してないけど、大切な親友だから泣かせないでね。こちらこそまた来年もよろしく』


それぞれが、大切な人へ紡ぐ想い。
そしてその大切な人のまた大切な人へと謡う願い。
織りなし重なり合うこの縁は、目にはみえない大切な絲
幸せと、仕合わせを…この先ずっと、繋げて往くために



日付がかわり、迎えた新年。
あちこちで一気に賑やかになったこの特別な空間で、私たちは顔を見合わせる
そして同時に口を開くのだ
いっせーのせと、子供が声を揃えるかのように


「「「『今年もよろしくお願いします』」」」





一年の終わりと一年の始まりが交錯する、刹那

遥か古より刻まれた一つの星が、静かに動き始める



それは、別れと出逢いを超えてきた私たちの星宿。



「おみくじ!六花っ、おみくじ引こう!」
『ユキ、そんなに急がなくても御神籤は逃げないよ』
「転ばないでくださいよー」
「大丈夫!!」
「六花もな」
『ん。気を付ける』
「天蓬も捲簾もおみくじ引かないの?」
「逆に聞くが、俺らが引くように見えるか?」
「いやこれっぽっちも。」
「そーゆーこった」
「じゃあ私たちで引いてくるね」
「大凶が出ても落ち込まないでくださいね」
『何が出ても皆が居てくれれば問題ないよ』
「ははっ、それもそーだな」
『でしょ』

雑踏に紛れて、ユキと共に御神籤を振る。
出てきた1本の棒を巫女さんに渡せば1枚の紙を手渡された
紅白で彩られたそれを広げれば…見えてきた結果に二人して笑ったんだ

「あははっ、私たち幸先いいねー!」
『揃って大吉とかってあんまりないよね』
「おや。2人とも大吉ですか?」
『今年もいい年になりそうだよ』
「恋愛運はどーよ」
『「今が最上、迷うな」』
「あははっ それはそれは…神様に褒められた気分です」
「迷う気もないんだけどねー!でも、やっぱり嬉しい!」
「そう思ってもらえて何よりです」
『ある意味天にも認められたってこと』
「だな。ま、認められよーがなんだろーが手放す気ねえもんな」
『でも嬉しいよ。こういう結果にであえるのは』

数ある中から自然と選び抜かれた言の葉だから。
丁寧に折り畳んで財布に入れれば、どことなく嬉しそうな捲簾と笑い合う


さあ。1年の始まり。


大切な人と紡ぐ縁をこれからも織り成すべく、

今年もみんなで一緒に生きていけますように



吐き出す白い息が昇る先を、そっと見上げながら呟いた。
















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