嫦娥の花宴 | ナノ




お題:麻雀




知らなかったことが、まだまだたくさんあったんだって




『…これ、どうするの?』
「おー。相変わらず引きイイよな友香って。ここに並べとけ。んでもってコッチは要らねぇから捨てんぞ」
『…意外と頭使うんだね、麻雀って』
「友香姉ぇの世界には麻雀無かったの?あ、それポン!」
『あったと思うけど、私はやったこと無かったから』
「確かにお前が手ェ出すとは思えんな。オラ、リーチだ」
「あ、それいただきます。カードゲームなんかも友香はあまり知らないようですしね」
『ん。ババ抜きとか七並べとかしか知らなかったね』
「ってか!悟浄友香姉ぇにくっつきすぎ!後ろから羽交い締めされたんじゃ友香姉ぇが動きにくいだろっ」
「恋人の特権ってヤツ?僻むなよお猿チャン」
「友香姉ぇ邪魔だったら言って。俺如意棒出すから」
『ふふ…ありがとう。でも意外と暖かいんだ』
「お前もつくづく趣味の悪ィ女だな。こんなカッパのどこがいいんだか」
「本当に…友香ならもっと真面目で優しい男性の方がお似合いですよ。例えばほら、僕なんてどうです?中々の良物件だと思うんですけど」
「お前らなんなの。つか八戒!どさくさに紛れて売り込んでんじゃねーよっ」
『あ。ねえ悟浄、なんかカラフルなのきた』
「よし来たァ!どーだ、国士無双!」
「うげっ!?友香姉ぇすげえじゃん!」
「おや。これはやられましたね」
「チッ。勝負運だけは相変わらずだなお前は」
『…? 手札見せちゃっていいの、これ』
「上がりだからイイんだよ。友香の一人勝ち」
『へぇ…この絵柄が揃うと上がりなんだ』
「国士無双を揃えるのは難しいんですよ。それを引き当てるあたり、さすが友香って感じです」
『初参戦で上がれたのは楽しかったかな』
「あっ、じゃあさ!もっかいやろ!」
『次は悟空と組もうかなぁ』



私はあなた達と出逢って初めて知れたんだ。



***************


お題:苦手なもの


「意外だよな」
「ええ。ものすごく意外です」
「すっげえ…友香姉ぇにも苦手なのとかあったんだ…」
『…、そんなに関心されるとは思ってなかった。二重跳びは出来た試しが無いんだよ』
「運動神経の塊みてェなお前がか」
『手首を速く回すのがコツだって前に聞いたけど…どうやっても前跳びにしかならない』
「早く回せばいいの?」
『そう聞いた事がある』
「貸してみ。二重跳びってのはな、こーやるんだ、よっと」
「!、すっげ!めっちゃ速いっ」
「飛んだ時に体をくの字に曲げるように意識すると跳びやすくなるんです」
「へー!悟浄俺もやってみたい!!」
「お猿ちゃんに二重跳びなんか出来んのかよ。スネに当たって終わりじゃね?」
「そんなんやってみなきゃ分かんないだろっ」
「くだらねェ道草してねえでとっとと行くぞ」
『三蔵は出来るの?二重跳び』
「知らん。」
『…やったことないんだね』
「出来ようが出来なかろうが生きてく上でなんの関係もねェだろうが」
『お説ごもっとも』
「八戒ーっ!俺出来てる!?」
「ええ、とても上手ですよ。あと5回で悟浄の記録更新です」
「ちゃっかり数えてたのかよお前は。こんな跳ぶだけなら百は余裕だっての」
『凄いねみんな。二重跳び出来るんだ』
「逆に友香が出来ねえ方がマジで意外だわ。他にもあんの?苦手なの」
『跳び箱とか…あとは何だろ。球技も出来なくないけど得意じゃなかった』
「へーぇ。なんでも卒無くこなすイメージだったわ」
『みんなが思ってるほど起用じゃないんだよ』
「ははッ さいですか」
『さいなんです。』


***************


お題:インフルエンザ


『…ふう』
「お疲れ様です、咲耶さま」
『まさか四人一気に感染するとは思ってなかったね。桃花も手伝ってくれてありがとう』
「いいえ。…この所気を張った日々が続きましたから、疲労も溜まっていたのでしょう」
『まあね。それに四六時中顔を合わせてれば全滅の可能性は高い、か』
「咲耶さまは大丈夫ですか…?」
『これがまた元気なんだな。完全に人の身じゃないから、感染は防げたらしい』
「なるほど…それは何よりでございます。あのインフルエンザと言うのはかなり症状が重いようですね」
『一週間近く熱が下がらないからね。感染力も強いんだよ』
「それで彼らの部屋を隔離したのですか?」
『そう。一人部屋で隔離しておけばこれ以上の感染はとりあえず防げるから。紗烙や恒天部隊の彼らにまで伝染したら申し訳ない』
「そこまで心配しなくても、俺らもそんなヤワじゃないぞ」
「!、波珊さま」
「よう。体力自慢が全滅したって紗烙から聞いてな。なにか精の出るものでも作ろうと思ったんだが」
『ありがとう波珊、助かるよ。さっき薬は飲ませてきたから、夕餉はおじやとかの方が食べやすいと思ってる。葱とか卵とか、生姜があったら有難いんだけど』
「それなら任せろ。材料なら揃ってるから作っておこう」
『ごめん。手間かける』
「なぁに、こんなものお前達がしてくれた事と比べたらどうってことない。それより、お前達も感染しないよう気をつけろよ」
「私は人の身ではありませんので、感染することはまずございません。ご心配頂きありがとうございます」
「あー。そうか、神霊だったか。見た目がそっくりだから妙な感じだな」
『桃花は私に仕えるからって、わざわざ似せた姿をとってくれてるんだよ。頭上がらないよね』
「仲が良いってことは俺にも分かるな」
「これは私の意思ですので、受け入れてくださった咲耶さまたちには感謝しています」
『ね。とってもいい子』
「だな。紗烙にも少しは見習って欲しいところだ」
『そうなったらなったで、波珊は絶対しっくりこないと思うけどね。今の紗烙だからこそ、傍に居ると決めたんでしょう』
「!…はは。お前には適わないな。どれ、暴かれる前に退散するか」
『ふふ…後で私も手伝いに行くから』
「気にするな。お前らはしっかり看病してやれ。弱った時ってのは男は特に面倒だからな」
『ん。ちゃんと見張っとくよ。ありがとう』



予想通り、頭痛いと抜け出してきた悟空がぐずるから

仕方ないなぁと苦笑しながら抱きしめたんだ。


***************


お題:女の子


「…っ…、…!…」
「…ウザってェから大人しく黙って座っとけ悟空」
「だって…! 友香姉ぇ大丈夫かな…めっちゃ顔色悪かったじゃん…」
「今回のは少し症状が重いようですからね。まあ悟浄が傍にいますから大丈夫ですよ」
「…」
「たまになる友香姉ぇのあれって、病気とかじゃねえの?ホントのホンットに大丈夫なヤツ?」
「はい。えーと、女性特有の症状なので、2、3日経てば症状も落ち着いてきます」
「でも朝見た時すっげえ顔色悪かった…しかもどっか痛そうだったし…病気じゃないよな…」
「うーん…(確かに悟空は初めて見るようなものですからね。さて、どうしましょうか)」
「悟空」
「!、なに?三蔵」
「そんなに気になんなら生姜湯でも持ってけ」
「へ?…生姜湯?」
「ハチミツでも入れときゃあいつも飲みやすいだろ。ああいう時はとりあえず温めときゃいいんだよ」
「そうなんだ…!、じゃあ俺ちょっと厨房借りてくる!!」
「行ってらっしゃい……あなたも随分と丸くなりましたよね、三蔵」
「フン。毎度あんな死にかけたツラ見せられんのも飽きただけだ」
「そんなこと言って、友香に貼るタイプのカイロを押し付けてたのは誰ですか。あれ、わざわざ買いに行ったんでしょう」
「…盗み聞きとは悪趣味だな」
「薬を持っていこうとした時にちょうど聞こえたんですよ」
「忘れろ。」
「嫌ですよ勿体無い」
「意味が分からん。……寝れてんのかあいつは」
「ええ。痛み止めが効いてきたんでしょう。やっと寝てくれたって悟浄が言ってましたから」
「…フン」
「タイミング良く宿に泊まれて本当に良かったです」
「適当に延長でもなんでもしとけ」
「何だかんだ言って、あなたも友香には優しいんですよねぇほんと」
「…うるせェよ」


いつも以上に無表情なあの顔が、痛みを隠すようなあの仕草が

どうにも気に食わなかっただけだ。


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