嫦娥の花宴 | ナノ



例えばそれは、理を覆すことだったり。






「おーい。一応聞くケド、なにやってんの」
『やだなあ。見てわからないとかついに暑さで頭やられた?』
「誰も居ねェ浜辺で倒立してる女の思考回路なんざ、誰が見たって読めねえっての」
『もうちょい高さが欲しいなあ』
「聞けよ」
『ニュートンに文句言わなきゃ』
「…。頭に血ィのぼンぞ」
『"それ"も縛られてる証拠だよね』
「いーからほれ、もうヤメとけよ、っと」
『わあ。引くくらい視界がグラグラする』
「バカだろお前」
『そんなバカに毎回懲りずに付き合ってるバカはバカじゃないのかな』
「自覚済みのバカなんじゃね?」
『わあお筋金入りだった』
「お前には勝てねーよ」
『えっへん』
「んで?ニュートンに喧嘩でも売りに行くつもりか」
『切欠は人間でも大元は人外だからなあ』


寝転んだ砂浜、見上げたのは同じ色

そう。初めから決められていたんだ

私たちがアレを見下ろす事は出来ない


『ずるいと思うんだ』
「そーだな」
『たまには見下ろされる側の気持ちも味わらせたくなる』
「だから倒立か」
『縛りに邪魔されたけどね』
「ま、此処で生きてる限り無理な話だろ」
『納得いかないわあー、無限と有限交換しようよ』
「へえ。すげえ眺めよさそう」
『でしょう?此処が宙になるの!』
「相変わらず友香って発想がブッ飛んでるよな」
『まあそれなりに自覚はあるね』
「お前AB型だっけ」
『ソレ八戒が聞いたらアウトなやつ』
「ははッ、言えてる」


ついでに言うと、この世には覆せない理がいくつかある

人の死だったり物質と空間の差も然り

人間の力じゃどう足掻いたって勝てっこないから


『文字通り天地逆転とかしたら楽しそう』
「あー、んじゃ、そん時は最期まで付き合ってやるよ」
『有限に変わる空も無限に変わった海も、どちらも探検のしがいがありそうだもんね』
「そうなりゃ、大地の裏側にも行けんのかねェ」
『それは楽しそうだ』


縛られた足の裏、当たり前のソレから解放された―――…その時は。

この世界の一部に還って 理に反してみせようか。















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