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土方はそのまま俺を引きずって河原まで歩いた。
「…てめぇ、もうこっからは歩け」
「もう疲れた?…土方くん、貧弱ぅ〜」
「っ!こんの…!」
そのまま土方に河原の草むらに転がされてしまった(地味に痛い)
「痛いです、土方くん」
「てめぇがつけあがるからだろうが!」
「俺をつけあがらせてるのは土方くんでしょ」
草むらに寝っ転がったまま、俺は土方を仰ぎ見る。
土方の表情が僅かに強張ったのを俺は見逃さなかった。
「ほんとは気付いたんだろ。俺がそんなに酔ってないこと」
「…」
「なんで俺を支えてくれたの?
つーか、そもそもなんで来てくれたの?」
「っ、…それは」
どうせ、部下に面倒なことさせられないから、とか言うんだろ?
どうせ、俺相手は自分じゃないとおさめられないから、とか言うんだろ?
ねぇ。全部俺とか部下とかの所為にしないでよ。
土方は何を考えてるの?
土方の気持ちはどこにあるの?
…俺は土方の心のどこに居るの?
「…土方」
「!」
俺は上体を起こして未だ立ったままの土方の腕をとり、自分の方へ引き寄せた。
不意をつかれた土方は抵抗もなく俺の隣にペタンと座る。
俺は土方の小さな後頭部に手をまわして、そのまま土方の顔を俺の肩口に押し付けた。
「逃げないで。…俺も逃げないから」
もう、はっきりさせてしまいたい。
やがて。
「…勝手な野郎だ……」
の台詞とともに土方から繋いできた手は可哀想なくらい震えていて。
その震えを止めてやりたいのに俺の手も震えていて。
誤魔化すように、お互い出せるだけの力でお互いの手を握る。
俺も土方も、手は力を入れすぎて真っ白なのに顔は真っ赤で。
声だって出てこない。
やけに可笑しかった。
この想いが言葉にできるようになるのは、俺も君ももう少し先かもね………。
end
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