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※パラレル。裏社会のトップの1人ミホークと、そんな彼に不幸なことに見初められたサラリーマンゾロ。




ゾロの世界はある時一変した。


一介の平社員に過ぎなかったゾロは、ある日上司を通じて社長室に呼ばれた。
そこで待っていたのは2人。1人は顔もよく覚えていなかったがおそらく社長だろう、でっぷりした体躯の中年で。…もう一人は…すっと背の大きな、真っ黒なスーツをまとった目の鋭い男だった。

理解の追い付かないゾロに、社長は脂汗をかきながら辞令を出す。ゾロは意味もわからないまま会社をクビにされてしまったのだ。抗議しようと口を開きかけたゾロだったが、それまでじっとこちらを見るばかりで黙っていた男がゾロの目の前に立ったことで止まる。男が発する威圧感にゾロは思わず息を詰めて、しかし生来の負けず嫌いの性格もあって男を睨みつけた。そのゾロの様子を見ていた男は、仏頂面を緩めて口元の端をあげ凄みのある笑みを見せた。…ゾロは、仏頂面の男の顔よりその笑みのほうに底冷えするような恐怖を感じた。



「貴様は俺が買おう。…来い、ロロノア・ゾロ」


何故自分のフルネームを知っているのか、この男は一体何者なのか、何故自分が会社を辞めこの男と共に行かなければならないのか。

疑問ばかりが浮かぶゾロだったがこの場は何も聞ける状態ではないと思い、男についていくしかないと判断した。社長すら脅してしまう男だ。それに、簡単に傅いて自分を解雇した会社になどなんの未練もゾロにはなかった。
自分に向かって伸ばされた男の手を叩き落として、ゾロは社長室のドアへと向かう。後ろで男が可笑しそうに声を出さず笑っていたことなど、ゾロは気付くわけもなかった。


独り暮らしをしていたアパートを男に強制的に引き払われて、ゾロは強引に男の元へと引っ張られた。もちろん抵抗し、殴りかかり、警察へも連絡をしようと動いたが、ことごとくあしらわれて。それどころか、ゾロは今までで経験したことのない、男の身ならば振りかかるるはずもないと思っていた経験を強制的にさせられた。そのまま気絶してしまったのだろう。目を覚ました時、安易に口で説明できないところが痛み、ゾロは酷い敗北感で呆然となった。見渡せば、あの時すべての家財道具が消えていた自分の部屋ではなく、見知らぬ部屋のベットに何も身に纏わずに寝かされているのに気付く。…あぁ、あの男の部屋に連れ込まれてしまったのか…と、ゾロはぼんやりと理解した。




「目が覚めたか」


突然かけられた声に驚き振り向けば、昨夜自分に無理をはたらいた男がドア付近に立っていた。琥珀色の獰猛な眼差しに、ゾロは身体が強張った。反射的にそうなった自分にゾロは舌打ちしたい気持ちだった。

「身体はどうだ?」

「……うるせぇ、強姦魔」

「ふん、その割にはよさそうに啼いていたようだが?」

「!誰がっ!」


かあっと顔に熱が集まる。ゾロは咄嗟に近くにあった枕を投げるも男に当たるわけもなく。男はゆっくりとゾロのいるベットへ近づいてきた。ゾロはベットから抜け出そうともがくも身体が思うように動かせず、うつ伏せになっているところに圧し掛かられるように男がゾロの腕を押さえつけた。

「てめ…っ、なにす、んんっ!」

背中に生温かいものが這い、ときどきチクっと刺激が与えられる。ゾロは力が入らず、それどころかだんだんと身体が熱を持ってきているようにもなってきて焦る。手をひとまとめにされて片手で押さえつけられ、男の空いた手がゾロの顎を捉えて自分のほうを向くように動いた。ゾロはかなり苦しい体勢で男のほうを振り向かされ、ギッと男を睨みつけた。男は心底楽しくてしょうがないとでも言うように目を細めてニヤっと笑う。



「貴様は、いいな。想像以上に俺を楽しませる」

「っ、ちくしょ…っ」

「あぁ、その目だ。…やっと俺のモノになった」

「ふざ、けんな…っ!くっ…」

顎の手が外され、再びベットに縫いつけられる。ゾロの項に口付けながら、男は笑う。その僅かな空気の振動がゾロの肌をすべり身体が震えた。



「そうだ、貴様も俺に口付けろ」

「んっ、な、に…」

「屈服の証を俺に示せ、ロロノア」



身体を反転させられ、仰向けに転がされたゾロの目に映るのは無駄に装飾された天井と男の顔。ニヤリと笑う男はゾロに顔を近づけて顎で合図してみせる。ゾロは上がった息を整え、男に向かって不敵に笑みながら口を開いた。…ゾロの口から出た言葉は、男の想像を超えていた。




「…だったら、てめぇの心臓を抉り出してみせろ」

「…なんだと?」

「てめぇの心臓になら、俺から口付けてやってもいい」

「……貴様…」



笑えた。久々に心の底から男は笑えた。
こんな絶望的な状況にすら、目の前の青年は目の光をくすませることなく牙を向けてくる。
愉快で仕方がない。



笑われたことにゾロはむっと口を噤んだ。本気で言ってたのか、と男はますます笑みを深くする。

「貴様は、本当にいいな。ロロノア・ゾロ」

「…こんな状態で言われて喜ぶと思ってんのか、てめぇ」

「てめぇではない。ミホークだ。ジュラキュール・ミホーク。名を呼べ」

「誰が呼ぶか…!死ねっ」

「まだ死ねんな。まだ貴様を愛(め)でたりん」

「…な、なに言って…」



困惑して抵抗の力が緩んだゾロに男―ミホーク―がまた笑った。それは驚くほど穏やかな笑みで、ゾロはますます混乱する。



「アイシテイルと言えば、心も俺にくれるか?」

穏やかな笑みの奥にあるのは。独占したいという欲望の炎。
何故この男が自分にこんなにまで執着するのかわからない。わからない、が。

「…心臓くれるんなら俺の全部をやってもいいぜ…ミホーク」

気付けば、男からぶつけてくる言葉と気持ちに目を逸らすことなく返すゾロがいた。



却下だ、と無下に撥ね退けながらも楽しそうにゾロの鎖骨を指でなぞるミホークに。
残念、と棒読みで返しながら熱い息を吐くゾロ。




…昨夜のように淫行に傾れ込むまで、そう時間はかからなかった。




キスが欲しい?生半可なトコロにはしてやれねぇよ?

8:その他に狂気のキス


狂気は伝播する。
ミホークは偶然街で見かけたゾロを見初めてしまう。さまざまな情報網を用いて緻密に準備してやっとゾロを自分のものにする、みたいな。よくわからないけど、本能でミホークに惹かれてしまったゾロ、みたいな。
あぁ…わかりづらくてごめんなさいm(__)m…あ、いつもか…(涙)



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